民営化阻止、再公営化が世界の流れ 水は生存権であり人権です 命の水を守る 全国のつどい in 浜松
▲1月13日会場の浜松市福祉交流センターに全国から600人以上が参加しました
世界各地で水道事業の民営化による料金高騰や感染症の発生などさまざまな問題が起こり、再公営化がすすんでいます。しかし、日本では昨年12月の水道法「改正」で、コンセッション方式の導入が可能となり、静岡・浜松市では水道の民営化がねらわれています。自治労連の仲間と市民団体は「1・13命の水を守る全国のつどい・浜松」を開催し、民営化阻止のため奮闘しています。
▲開会に先立ち約200人がJR浜松駅前から会場まで行進し、市民にアピールしました
民営化ねらう国 追随する自治体
2013年4月に行われたG20財務相・中央銀行総裁会議で記者会見した麻生太郎財務大臣が「日本の水道をすべて民営化します」と発言したのを契機に、水道民営化の動きが広まりました。
2014年4月には、橋下徹大阪市長(当時)が、2016年3月には現在の吉村洋文市長が水道事業の民営化を提案しましたが、「低廉(安く)安全で安定的な水の提供は公営で」を求めた大阪市民の運動で廃案に追い込んでいます。
浜松市が導入しようとしているコンセッション方式とは、所有権を自治体に残したまま、事業の運営権を民間企業に譲渡するもので、政府・自民党が法「改正」でお膳立てをし、浜松市がこれに追随したものです。
民営化で安全より利益追求優先へ
「つどい」では、実行委員会の池谷豊事務局長が、「浜松市は2011年頃から上下水道のコンセッション方式導入を検討しはじめ、水道法『改正』を機に検討を加速化した。民営化によって安全よりも利益追求が優先される」と報告しました。
パネルディスカッションでは、「内閣府に民間企業関係者が入り込んでコンセッションを推進している」「運営費のほかに、役員報酬や配当にまわす利益が必要となり、世界での実態を見ても料金値上げは必至」「職員が企業に出向や退職させられ、ノウハウが奪われて、公営に戻すことも困難となる」ことが明らかにされました。参加者からは、「施設の維持・更新の工事発注も関係企業が請負うこととなり、地元企業への発注がなくなる」「企業に働く人の労働条件や自然災害時の対応が不安」などの発言があいつぎました。
住民の声を受け「当面延期」へ
この間、浜松市職と浜松市上下水道労組は、水道民営化に反対する市民団体とともに、民営化の危険性の周知と署名活動も行ってきました。
世論が高まるなか、鈴木康友浜松市長は、昨年11月の記者会見で「18年度中の導入結論は出さない」ことを表明し、さらに、今年1月31日の記者会見で、民営化議論について「当面延期」する方針を示させたことは運動の成果です。
浜松市職の良知(らち)信一執行委員長は、「粘り強い住民のとりくみの結果です。廉価で清浄な水の供給は、生存権であり人権です」と話します。
自治労連は住民の安全・安心を守るため、引き続き、住民とともに水道民営化に反対し、水道事業を守るとりくみをすすめていきます。
▲左からパネリストの尾林芳匡弁護士、アジア太平洋資料センター共同代表の内田聖子さん、水ジャーナリストの橋本淳司さん
▲市民団体とともに民営化反対を訴える浜松市職の組合員
いのちの水をうばわせない
住民とともに水を守る
民間企業は営利を目的としますので、水道料金の高騰が懸念されます。災害時の応援にも影響が出てきます。コンセッション導入の説明を何度聞いても市民に有利になるとは考えられません。私たち浜松市上下水道労組は、水道事業の公営を守るため住民とともに運動をすすめていきます。
▲浜松市上下水道労働組合 三岡 昭弘 執行委員長
民営化NOの世論
内閣府に水事業の民間企業社長が出入りしていることが明らかになったころから、浜松市水道部の態度は硬化してきました。予定されていた公開討論会を断り、定期的にやってきた私たちとの懇談も『今後行わない』と回答してきました。署名や宣伝、学習会などをすすめて、水道民営化を提案できないよう世論をつくっていきたい。
▲浜松市の水道民営化を考える市民ネットワーク 池谷たか子さん