シリーズ23 いちから学ぶ仕事と権利 生計費調査にもとづき全国一律1500円に
最低生計費調査
▲出典:山口県労連資料・全労連各道府県組織調査
最低賃金1500円以上へ引き上げや全国一律最低賃金制度の実現をかかげて全労連、自治労連をはじめ各地で労働組合を中心に運動がとりくまれています。今回は最低生計費調査について学びます。
低すぎる最低賃金 不合理な地域間格差
2018年度の地域別最低賃金額は、全国加重平均額で、874円でした。最高額の東京の985円でさえフルタイムで働いても月14万7000円、年間177万円であり、年収200万円以下のワーキングプア状態が解消されません。
また、地域間格差では、地域別最賃額がもっとも高い東京と、もっとも低い鹿児島(761円)で224円に格差が拡大しています。
現在の日本の格差と貧困の拡大、地方の人材確保難や地域経済疲弊の大きな原因として最低賃金の水準が低いことや、地域間格差の拡大にあります。
全国どこでも最低1500円以上必要
「健康で文化的なくらし」をする上で必要な生計費を明らかにする最低生計費調査は、「マーケットバスケット方式(必要な生活用品やサービス料を一つひとつ積み上げていくやり方)」による生計費試算で、集計にあたっては「生活実態調査」「持ち物財調査」からなるアンケート調査と、それに基づく「価格調査」の3つの調査を実施します。
各地の調査結果を見ると25歳独身男性が月に必要な費用は、税・社会保険料込みで約22万円~24万円(月額)で、全国で大きな差がないことは明らかです。「健康で文化的なくらし」をするためには、最低賃金が全国どこでも時間額1300~1500円以上必要であるといえます。
最低生計費調査に地域の仲間とともにとりくみ、調査結果を広くアピールしながら「最低賃金いますぐ1000円以上、1500円をめざす」と、全国一律最低賃金制度の実現にむけて運動と世論をさらに広げることが大切です。