シリーズ24 いちから学ぶ仕事と権利 憲法破壊をとめるのは公務員の憲法上の義務
憲法99条 憲法尊重擁護義務
公務員は入職する時に憲法を尊重し擁護することなどの服務の宣誓をします。憲法を尊重し擁護するとはどういうことでしょうか。
憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務」を定めています。「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の日本国憲法3原則をはじめ、憲法に違反・逸脱せず、遵守することを求める規定です。
しかし、安倍首相をはじめ一部の国会議員に憲法を軽視し、あるいは違反する発言や行動が大きな問題となっています。
弱められた服務の宣誓
日本国憲法が制定された当初、国家公務員・地方公務員は「私はここに主権が国民に存することを認める日本国憲法に服従し、かつこれを擁護することを固く誓います。私は、国民全体の奉仕者として公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、国民の意志によって制定された法律を尊重し、誠実かつ公正に職務を執行することを固く誓います」と宣誓しました。
ところが、1966年に国家公務員法が「改正」されると「日本国憲法に服従し」の文言がなくなり、代わって「公共の利益のため」になり、「上司の職務命令に従うこと」が新たに加わりました。以前の国家公務員法には「上司への意見の具申」の項目がありましたが、それも消えました。上司への服従、もっと言えば「権力への服従」が強めたのです。
圧力には毅然と対応
地方自治体でも、「憲法は政治的な問題」「政治的中立への配慮」という言葉で公共の施設を使わせなかったり、住民の行う集会の後援を断ったりする事例が相次いでいます。
公務員に規制・圧力をかけることで、主権者である国民・市民団体に対しても萎縮効果を生み、それは国民の政治離れにもつながります。
一方、憲法署名に当局から圧力がかかったとき、「公務員が憲法を守ると主張するのは憲法99条であたり前」と毅然と対応した組合もあります。
憲法や政治的な問題に多くの住民に主権者として関心をもってもらい、憲法がめざす社会につなげることが自治体と公務員の重要な役割です。