子どもの「おいしい」を励みに 地域住民と力を合わせ中学校給食を実現
新規採用で直営を守りたい 静岡市労連 学校給食部会
▲清水区の11の中学校に届けるため約5000食を毎日つくっています
あったかい給食がうれしい――中学生、子どもが給食を楽しみにしている――保護者
静岡市清水区の中学校では、今年4月から給食が直営センター方式ではじまり、「温かい給食が食べられる」と子どもたちが喜んでいます。静岡市労連・学校給食部会の「学校給食を直営でつくる提案」から実現したもので、住民とともに職場を守るとりくみをすすめています。
委託すすみ、最後のセンターに
現在の静岡市は2003年に旧静岡市と旧清水市が合併してできました。旧静岡市は小中学校ともセンター直営方式の給食が実施され、一方の旧清水市の小学校は自校直営方式の給食がありましたが、中学校では弁当か「デリバリー給食」の選択制で、給食の実施を求める住民の要望に応えるものではありませんでした。
また、合併後の静岡市では、直営の給食センターの民間委託がはじめられ、2016年には東部学校給食センターを残すのみとなりました。
退職不補充で人員減
民間委託に切り替わるなか、職員は自校方式の清水区の小学校に異動。退職不補充が続き、民間委託の流れはすすみました。「委託反対の署名」にもとりくみましたが、人員が減るなかで、職場にはあきらめに近いムードが広がっていました。
仲間のとりくみを知り中学校給食を提案
静岡市労連・学校給食部会の坂下昌利さんと大山一之さんは「何とか職場を守り、直営の学校給食を守れないか」と打開策を探るなかで、「少ない職員数でも充実した学校給食を提供」している愛知・豊橋市職労のとりくみを聞き、仲間と3人で視察に向かいました。
視察後、事実上学校給食がない「清水区の中学校へ提供できれば、直営を守れるのではないか」と、職場に持ち帰って相談し、「東部学校給食センターで清水区の学校給食を直営でつくる提案」をまとめ、組合として2016年に教育委員会に提案しました。
住民といっしょに要求を実現
以前から清水区のデリバリー給食は「おかずが冷たい」と不評で、「選択制のため、弁当もなくて、昼食を食べない子どもがいる」と大山さんたちも心を痛めていました。地域住民も「清水・学校給食を考える会」として運動をとりくんでおり、学校給食部会として、一致する課題でこの会と連携し、議会要請などを共同ですすめました。最終的には市長も中学校への給食提供を決定し、市広報でも「4月からすべての市立小・中学校で、全員給食がスタート!」と高らかに謳われることになりました。
「安心」「うれしい」に手ごたえ
給食がはじまって半年。保護者からは「徹底した衛生管理で、栄養バランスと彩りがとてもよい献立に。親としても安心している」と声が寄せられ、子どもたちも「温かいものがあってうれしい」と喜んでいます。
坂下さんと大山さんは「直営だからこそ経験と技術もあり、衛生管理も徹底できる」「生徒に喜んでもらえるのがなにより」「あらためて職場で仕事のことを話し合えたことも成果」と手ごたえを感じています。
一方で、退職不補充は続いており、「これからも給食を届けていくために、現業職員の新規採用を実現させたい」と決意を固め、10月18日には現業統一闘争として決起集会にとりくみ、予算人員増を求める要求提出を行いました。
▲坂下昌利さん(左)と大山一之さん。2人は同期
▲五目はんぺんのごま揚げをつくっています