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第11景 高層ビル近くに残る戦国時代の史跡

いいとこよりみち発見伝2015年3月号 Vol.496

400年前の天下分け目の舞台

高層ビル近くに残る戦国時代の史跡

大阪市天王寺区
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▲茶臼山史跡碑は大坂の陣400年を記念して一心寺が制作。大阪市に寄贈された
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▲安居天神境内にある真田幸村戦死跡之碑と像

 1615年5月7日、大坂城は落城し、翌8日、秀頼と淀殿が自害して豊臣家は滅亡します。今年は「大坂夏の陣」から400年。大阪南の玄関口、天王寺駅をスタートして大阪城をめぐる歴史をたどってみました。

 JR天王寺駅を出ると目の前には空に突き抜ける「あべのハルカス」。

 2015年3月にオープン1年を迎える、地上60階、高さ300メートルの日本で最も高い超高層ビルです。東京スカイツリー (634メートル)、東京タワー (332・6メートル)に次ぐ高さで、展望台からは歴史がたくさん詰まった大阪の街全体が見渡せます。

 あべのハルカスを背にして谷町筋を北へ行くと、天王寺公園。その中に「大坂の陣400年」を記念して造られた、茶臼山史跡碑があります。茶臼山は大坂冬の陣では徳川家康の本陣、夏の陣では真田幸村の本陣がおかれ、茶臼山の戦い(天王寺口の戦い)が繰り広げられ、天下分け目の舞台となったところです。

 さらに北へ行くと、800年の歴史を誇る一心寺があります。

 一心寺には、夏の陣で真田幸村に追いつめられた徳川家康が寺にある松の陰に隠れたところ、霧が吹き出し一命をとりとめたと伝えられている「霧降の松」や、大坂の陣で活躍した徳川四天王のひとり、本多忠勝の次男、本多忠朝の墓もあります。

 一心寺を出て、国道25号線の向い側の参道を入って行くと、戦国時代を代表する猛将である真田幸村が落命したといわれている安居天神に着きます。幸村は家康の大軍を真田丸という砦で迎え撃つ作戦に出ます。家康は幸村に凋落をもちかけますが、幸村は「今はこれで戦は終わり也。あとは快く戦うべし。狙うは徳川家康の首ただひとつのみ」とつぶやき、5月7日、真っ正面から家康本陣に突撃を敢行します。

 しかし、兵力で勝る徳川勢に追い詰められ、ついに安居天神の境内で、傷つき疲れた身体を休ませていたところを討ち取られました。毎年5月には幸村祭りが行われるそうです。

 梅田・難波に続く第三の大阪の顔として、急速に近代化した天王寺エリアですが、少し歩けば戦国時代の大合戦の歴史を感じさせる史跡がたくさん残っている不思議な街です。

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▲日本初の「スーパートール」、近鉄阿倍野駅の上に建つあべのハルカス