第13景 国の未来を憂い幕末を切り開いた松下村塾
2015年5月号 Vol.498
城下町そのままの姿を保つ
国の未来を憂い幕末を切り開いた松下村塾
山口・萩市
▲松下村塾―久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文など
維新の志士たちを育てた場所
大河ドラマ「花燃ゆ」の主人公は、国の未来を憂い、時代の歯車を進めようとした吉田松陰と、師の遺志を受け継ぎ命をかけて激動の幕末を切り開いた松下村塾に集まった志士たち。ヒロイン松陰の妹・文の生きざまを通して描かれます。
舞台となる萩は、江戸時代の典型的な城下町の姿を保っています。今でも江戸時代の地図がそのまま使えると言われるほどです。「まちじゅうが博物館」とも言われ、市内各所で歴史を垣間見ることができます。そこで市内の見どころをめぐる「まぁーるバス」の東回り〈松陰先生〉と西回り〈晋作くん〉のコースを利用すれば、存分に満喫できます。料金はどこまで乗っても一乗車100円。30分間隔で運行しています。
萩バスセンターから東回り〈松陰先生〉に乗車し、松陰神社で下車します。境内に入ると、すぐに松下村塾に着きます。 松下村塾は、松陰の叔父、玉木文之進が開き、1857(安政4)年に松陰が引き継ぎます。松陰はここで、身分や階級にとらわれず塾生に教え、わずか1年余の間に維新の原動力となる逸材を育てます。高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文など80人以上が在籍し、そのほとんどが萩出身の武士や下級武士だったといいます。松下村塾の隣には松陰や文の実家、杉家の家があり、みんなで松陰を盛り立てます。松陰は杉家の一室に幽囚されていました。この杉家の家を回ると松陰神社が現れます。1890(明治23)年に創建。学問の神として吉田松陰を祀っています。
次は東光寺前で下車。東光寺は毛利家の菩提寺で長州藩の藩主を祀っています。石灯篭が500基立ち並び、その景観は圧巻です。8月15日の夜には、すべての石灯篭にろうそくが灯され幻想的な世界が広がります。
東光寺の先には吉田松陰誕生地と墓があります。吉田家の墓と松陰の実家の杉家の墓、また高杉晋作や久坂玄瑞の墓が寄り添うように立ち並んでいます。激動の時代をまっすぐ生きようとするがゆえに、家族も志士もあたたかく強い絆で結ばれていったのだと、墓を見てもそう感じさせてくれます。
よりみちメモ
JR新山口駅より防長バス60分(萩バスセンター着)。観光は、1日乗車券(1日乗り放題)500円。2日乗車券(2日乗り放題)700円がお得。
▲杉家の家―松下村塾の隣にあり、その一室に松陰が幽囚された部屋がある
▲市内のみどころを1乗車100円で回れる「まぁーるバス」