第15景 硬貨の歴史も持つ京の寺
2015年7月号 Vol.500
硬貨の歴史も持つ京の寺
日本最初の貨幣の鋳造地で金運アップを祈願
京都・銭司聖天(ぜずしょうてん)
▲2つのオブジェに祈願して奥の銭司聖天へ。境内のあちこちに「金運向上」の立て看板。
もちろん賽銭箱も。訪れる際は小銭を多めに?
京都府南部を走る国道163号線。木津川市から笠置町へと向かう途中、左側に見えてくるのが今回紹介する「銭司聖天」です。とても目立つ看板があるのですぐにわかります。
真言宗醍醐派の寺院で、正式名称は光明山聖法院(こうみょうざんしょうほういん)といいます。銭司聖天は、その名のごとく、「金銭を司る聖天様」が祀られており、お金に縁があるお寺として金運向上の御利益で有名です。
708(慶雲5)年に武蔵国(現在の東京・埼玉周辺)で銅が採れ、年号が「和銅」に改められた際に、日本最初の貨幣「和同開珎(わどうかいちん)」が鋳造されました。
この地は、当時、都として栄えていた奈良にも近かったため、鋳銭司(ちゅうせんし)、今でいう造幣局が設けられ、貨幣を鋳造していたことから現在の「銭司(ぜず)」と呼ばれるようになりました。
敷地内に入ると、「毘葉羅園(ビハーラエン)」と名付けられた枯山水の庭園が出迎えてくれます。3月には梅が満開になり、良い香りが漂います。階段を上って右手に進むと、巨大な和同開珎のオブジェが目に飛び込んできます。
金箔を貼ることで願いが叶うという、とてもストレートな祈願所です。金箔は1枚500円ですが、指先に金箔が貼り付いてちょっとリッチな気分に。
和同開珎の向こう側にはこれまた巨大な大根のオブジェ。なぜ大根か。「『大』慈悲」の心と、「悪の『根』を断つ」という意味から「大根祈願」として大根に願い事を書けば叶うとされています。
お寺の本堂には『夢をかなえるゾウ』(水野敬也著・飛鳥新社)で有名なガネーシャも祀られていますが、あわせて見てほしいのが、「商売繁昌」「開運厄除」「試験合格」など10の願い事別に区切られた賽銭箱。
ちなみに、このお寺、上空から見ると、地形がお釈迦様の左足に見えると言われています。気になったあなた、今すぐググろう。
さて、「金」に関してもう一つ。京都市中京区の閑静な住宅街のなかに突如黄金に輝く鳥居が出現します。「御金神社」です。「おかね」ではなく「みかね」。鉱山、鉱物の神として金銀銅の御金を護ることから資産運用の神としても参拝されています。銭司聖天とあわせてこちらもぜひ。
よりみちメモ
JR関西本線加茂駅下車 タクシーで約5分
休堂日:毎週月曜日(月曜日が祝祭日の場合は火曜日)
▲本堂にある願い事別に区切られた賽銭箱。あなたはどれに入れますか?