8冊目 シベリア抑留 スターリン独裁下、「収容所群島」の実像
2018年8月号 Vol.537
8冊目
シベリア抑留 スターリン独裁下、「収容所群島」の実像
富田 武 著
第2次世界大戦が何であったのかを、あらためて見直すことになりそうなテーマです。「シベリア抑留」は、ソ連(当時)の対日参戦により、約60万人といわれる日本の将兵等がソ連に連行され、各地の収容所で強制労働に就かされていたことをいいます。3年間抑留されていた大伯父を持つ著者が、「公文書で得られたデータを現地体験によるリアルな想像で肉付け」した巡礼記でもあります。
日本では、抑留中の生活のひどさによるソ連憎しが支配的ですが、ロシアでは日本のシベリア出兵とセットで語られるといいます。両国共通の歴史認識を形成することの困難さを感じさせます。
中央公論新社
2016年12月発行
新書判・262ページ
定価:860円+税