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第38録 雄大な枯木灘(かれきなだ)と古道トレッキングの魅力

いい旅ニッポン見聞録2019年5月号 Vol.546

熊野古道大辺路(おおへち)を歩く

雄大な枯木灘(かれきなだ)と古道トレッキングの魅力

和歌山・すさみ町

▲古道の山間から見える枯木灘が雄大で美しい

熊野古道は、本宮・新宮・那智の熊野三山を巡る参拝道として大阪方面から沿岸部の和歌山市、紀伊田辺市に至る「紀伊路」、紀伊田辺市から山に入り熊野本宮に向かう「中辺路(なかへち)」と海岸線沿いに那智・新宮へと向かう「大辺路」など、いくつかのルートの総称です。

今回訪れた大辺路は海沿いのなだらかな地形で、一般の参拝者から大名行列などにも使われ、近年まで生活道としても利用されてきました。現在その多くが舗装された道路に代わっていますが、当時の利用者の様子をうかがう跡が残っています。

利用者の息づかい想い感じる古道

JR周参見(すさみ)駅を降り、国道を東へ歩くとすぐに「馬転坂(うまころびざか)入口」の看板があり階段を上っていきます。石に文字が彫られた道しるべを見ることができます。山間から望む枯木灘が美しい。一度国道に出てしばらく歩くと「長井坂入口」の大きな看板を左に折れ山に向かいます。ここでも道しるべや旅の安全を祈願したとされるお地蔵さんがありホッとします。JR紀勢(きせい)本線に沿った一般道から古道に入っていきます。ここでも道の合間に枯木灘を見渡すことができ、茶会が開かれていたと言われている場所も…。川に沿って下り、また舗装道へ出ますが、この道ものどかでいい。

和深川(わぶかがわ)王子神社の大木を見ながらすすみます。再びJR紀勢本線を越える橋を渡ると長井坂の入口に川沿いの脇道に入っていきます。急な登り坂を進み尾根沿いの古道を歩きます。「版築(はんちく)」と言われる、板枠のなかに土を盛り1層ずつ杵で固める工法で作られた尾根道、当時の道しるべやお地蔵さんを見ながら当時の利用者・参拝者に想いをはせます。

急なつづら折りの坂を下りると国道に出てすぐJR見老津(みろづ)駅。距離10㌔程度のトレッキングルートですが、心地よい余韻を感じながら電車を待ちました。

歩いた後は温泉グルメ

JR周参見駅から海に向かって歩いて行ける距離に、日帰り入浴が利用できる稲積(いなづみ)温泉(ホテル サンセットすさみ内)があります。また、自動車利用なら紀勢自動車道すさみ南ICから下ってきたところに道の駅すさみがあり、珍しい町立エビとカニの水族館が併設。すさみ町の名物イノブタ肉の販売や枯木灘でとれた魚介類も食すことができます。

▲道しるべが各所に

▲「版築」工法で固められた土手状の道が続く

見聞録メモ
熊野古道の地図が載っています
和歌山県観光連盟/
https://www.wakayama-kanko.or.jp/