第40録 俵山の〝温泉力〟は抗酸化作用
2019年7月号 Vol.548
西の横綱「俵山(たわらやま)温泉」
俵山の〝温泉力〟は抗酸化作用
山口県長門市
▲俵山温泉は昔ながらの町並み、宿屋が軒を連ねます
以前、「全国平成温泉番付」で西の横綱となった俵山温泉は、山口県北部の長門市にあります。全国に21カ所しかない国民保健温泉地にも選ばれており、特にリウマチに効くといわれています。しかし、交通の便はとても悪く、JR小月駅からバスで70分かかります。マイカーかレンタカーがおすすめです。
俵山温泉の起源は、約1100年前の平安初期916年に発見されたというのが定説。「地元の猟師が、白い猿が水溜まりで傷を洗っていたので矢を放ったところ、たちまち白い猿の姿は消えて、そこに薬師如来様が現れた。白い猿は薬師如来様の化身で、その水溜まりは温かく温泉だった」というものです。江戸時代は長州藩毛利家直営の湯治場となり、明治以降、「町の湯」はリウマチや神経痛に、「川の湯(現在の白猿(はくえん)の湯)」は皮膚病や火傷に効く〝名湯〟として知られるようになりました。
「霊妙不可思議な」俵山温泉の秘密
温泉分析表には、これといった濃厚な成分が認められない俵山のアルカリ性単純温泉が、なぜ長年にわたってリウマチや神経痛の〝名湯〟といわれてきたのか、「霊妙不可思議な」俵山温泉の秘密を解き明かそうと、学者たちが調査を行ってきました。
そして2012年に俵山温泉のお湯について、①極めて「還元力」が強く、抗酸化作用がある、②お湯が老化しづらく、効果が持続する、③温泉力の源は、豊富な「水素」の溶存にあった、という3点の特徴がわかりました。
近年、活性酸素による体の「酸化」が問題視されていますが、調査の結果は、俵山温泉の還元(=酸化された状態を元に戻す反応)力は、「水素泉」と称してもよいほどです。俵山温泉は、溶存水素が濃厚でそのため、昔から病気療養の〝名湯〟として知られ、生活習慣病予防や老化抑制、美肌づくりに効果が期待できるのだということです。
昔ながらの湯治場風情
山あいにひっそりとたたずむ俵山温泉の宿の多くは家族的経営で小規模。21軒が軒を連ねます。また、ほとんどの宿は内湯を持たず、湯治客は共同湯に足を運びます。
「町の湯」は、昭和レトロな町並みの真ん中に位置します。「白猿の湯」は「川の湯」閉館後にその源泉を引き継いでいます。肌はすべすべ、効果は抜群、どちらも源泉掛け流しです。
▲「白猿の湯」源泉はPH値9.8と日本最高レベル
▲「町の湯」は昭和風情がただよう温泉街の中心にあります