〔61〕提灯祭りへの愛は止まりません
2019年10月号 Vol.551
提灯祭りへの愛は止まりません
福島・二本松市職労 安田(やすだ) 史椰(ふみや)さん
▲提灯祭りを心から愛する安田さん
日本の三大提灯祭りのひとつであり、300年以上もの歴史を持つ「二本松の提灯祭り」。町内ごとに異なる提灯を付けた太鼓台が並ぶさまは圧巻です。この祭りを愛して止まない二本松市職労の安田史椰さんに、祭りの魅力について語ってもらいました。
ずっとそばに祭りがあった
安田さんは二本松市の出身。提灯祭りに関わるきっかけを尋ねると「子どもの頃から提灯祭りを身近に見て育ったので、祭りに参加するのは当たり前でした。小学4年生になると太鼓台に乗って小太鼓を叩くのですが、はじめは教えてくれる若連(注1)の人たちが怖くて練習に行くのが嫌だったんです。でも太鼓台に乗ったら楽しくて」と、当時を振り返りながら笑みがこぼれます。
決まりにより、高校生は参加できないそうです。「それでも高校の3年間は、ダボシャツを着て太鼓台の後ろを付いて行ったりしていました」と、祭りに対する熱意は揺るぎません。高校を卒業すると地区の若連に入り、再び祭りに携わりはじめました。
そもそも安田さんが二本松市役所に就職した理由も「祭りにずっと携われる仕事は何か考えた時、市職員だと。だから二本松市役所以外の選択肢はありませんでした」と、やはり祭りが優先です。
大人になると、任される役割も変わってきます。「太鼓台を牽く係だったのですが、祭りの3日間は本当に大変なんです。人生で一番キツイんじゃないかと思うくらい。でも、仲間と力を合わせて乗り切るという達成感は何にも代えられません。お酒を交わしながら、互いに『がんばったよね』と労をねぎらい合う時間が楽しいですね」
今年から役割が備品係に変わりました。「準備から片付け、部品の管理、祭りの期間中は太鼓台に破損がないか確認します」と話す表情には、華やかな祭りを文字どおり支える重要な裏方の自負心に溢れています。
家に帰れば「料理男子」
安田さんは、今年5月に結婚したばかり。「妻も働いているので、私が早く帰った日は夕食を作って待っています。最近料理を作るのが面白くなってきたんですよ」と、新たな楽しみを発見した様子。ちなみに得意料理はオムライスだそうです。
頼られる先輩になりたい
28歳になり、祭りでも責任ある仕事を任されるようになってきました。「的確な指示を出したり、周りから頼られる先輩になりたいです。市職員としても、人口を増やして祭りに携わる人が増えるようにしていきたい」と凛とした顔で目標を語ってくれました。
今年の提灯祭りは、10月5日から7日に開かれます。
(注1)若連とは 行政区や字単位で形成される青年男子の年齢階梯集団の一種。若者組とも言われます。
▲地元の同級生とともに昼の太鼓台を牽く安田さん(中央)