20冊目 9条入門
2019年10月号 Vol.551
20冊目
9条入門
加藤典洋 著
「押しつけ」といわれる9条を、「押しつけられた」側の日本人がとことん考え抜いて「生かす」。本当に大切に思うなら、その弱点もしっかり見すえなければ「憲法9条に負けてしまう」。著者の遺作となったこの本は、そんな思いと願いから書き起こされています。
敗戦から憲法制定までの「出生」の過程、「平和国家」と冷戦のはじまりがどう影響を及ぼしたのか。改憲派と護憲派のそれぞれの基点が、実は同じ人物から派生している事実が丁寧に解き明かされています。本当に「生かす」ために、見据えられた「欠落」をどう補っていくのか、そのバトンが私たちに託されています。
創元社
2019年4月発行
四六版352ページ
価格:1,500円+税