〔63〕将棋で強くなって結果を出したい
2019年12月号 Vol.553
将棋で強くなって結果を出したい
東京・世田谷区職労 室井(むろい)何予子(かよこ)さん
世田谷区三軒茶屋の将棋倶楽部。ここでひたすら将棋に打ち込む室井さんの姿がありました。「お休みの日もここに入り浸っています」と笑顔の室井さん。講師である宮田利男八段と対局を始めると一変、厳しい表情になりました。目で駒の動きを追い、確かめるように人差し指が動きます。やがて「まいりました」と室井さんが投了。感想戦で宮田八段から「どこがいけなかったと思う?」など指導のあとに「そのとおりですね」と苦笑いの室井さん。この倶楽部に通うようになって間もなく1年です。
「負けず嫌い」が将棋への熱意に
室井さんと将棋の出会いは、大学の受験勉強時に気分転換でやったネットゲーム。「なかなか勝てず、本で戦法を学び、やってみたら1回だけ勝てました。それがうれしかったんです」。その後も大学の将棋部や、モスクワで現地の学生と将棋交流をした経験などが楽しく、社会人になっても将棋を続けたいと思うようになりました。プロに指導を受けるようになったきっかけは、ある日、紹介してもらった教室でのこと。「対局したプロの先生が『この子は厳しいことを言ったらすぐやめるだろう』という感じだったのがくやしくて、この先生を納得させるまでがんばろうと将棋への熱意が出てきました」と負けず嫌いな一面をみせます。
そこからさらに交流の場が広がり、室井さんの生活のなかで将棋の占める時間が増えていきました。室井さんのスケジュール帳を見ると、休日のほとんどが将棋大会の手伝いや指導対局などで埋まっています。「将棋づけの毎日をおくるなかで、今までよりも強くなったという実感が持てました。だから続けてこられたと思います」
目標はプロ女流棋士と戦うこと
普段は保育士として忙しい日々をおくる室井さん、この春で4年目を迎えました。「子どもに接する時、余裕が出てきたように思えます。子どもはかわいいです」と目を細めました。しかし、ひとたび将棋の話になると「強くなって結果を出したい。そこから先は考えていません」と語気を強めます。いつの日かプロ女流棋士と戦うことが目標です。「最近では宮田先生も『やりたいならどうぞ』と言ってくれます。最初は困っていたみたい。少し変わってきたのかな」とうれしそうでした。
▲宮田八段(左)からの厳しい指導。しかし雰囲気は親子のようです
▲「子どもはかわいい」と保育園での室井さん(左)。子どもたちとエプロンを作っています