自治労連2020 憲法いかし住民のくらしを守る
安心して働き続けられる職場をつくろう 全国の仲間からメッセージ
あいつぐ災害、長時間労働上限規制や病院再編リストの発表など、昨年も私たちの働き方をめぐる大きな動きがあり、より良い働き方をめざし、全国の仲間が奮闘しました。そして、今年は自治労連30周年記念事業「青年未来づくりプロジェクト(青プロ)」が行われる年です。今年も職場と地域から大きく運動を広げていくために、各地の仲間の声ととりくみを紹介します。
「油断していた」ではすまされない
災害に強い自治体へ 千葉・市原市職労の組合員
千葉県では、台風15号、19号、豪雨と災害が続きました。市原市でも山間部を中心に倒木が多くあり、停電・断水も経験しました。ニュースでも報じられたゴルフ練習場の鉄柱の倒壊や、19号では竜巻が発生するなどの被害もありました。
避難所運営や孤立した集落の全戸訪問など、職員総出で対応しました。何より困ったのは、連絡が取れないことでした。停電した地域では、固定電話も携帯電話もつながらなくなり、連絡には直接現場に行かなければなりませんでした。
また、各部署で持っている情報を集約して共有することができず、庁舎内の情報共有や連絡調整にも課題が見えました。
り災証明書の発行などの業務では、長時間勤務が課題となっています。また、国や県の補助金などの申請書についても提出期限が非常に短いことも長時間労働を生む一因です。
ほかにも警報が出ている時の危険箇所を通っての参集などでは、職員の命を守るための基準が必要だと感じました。もう「油断していた」ではすみません。今回の災害を教訓にして、災害に強い自治体に転換していきたいと思っています。
▲山間部での復旧作業
慢性化する残業 人員増は待ったなし
安心の保育のために 静岡・伊東市職労連の組合員
静岡自治労連保育部会は昨年、「保育園・こども園職場の『働き方』実態アンケート」を実施して、慢性化した残業や不払い残業などの実態を明らかにしました。静岡市や伊東市など7つの自治体の公立保育園・こども園を対象に、保育士や幼稚園教諭など1546人が回答してくれました。「出勤前の時間外勤務」を行った職員は706人、うち時間外手当が「付いていない」が455人、「一部付いている」が198人で合わせると92.4%にも及んでいます。さらに「勤務後の時間外勤務」が850人で、うち時間外手当が「付いていない」が324人、「一部付いている」が423人で合わせると87.9%にのぼりました。
調査に参加して、記録を残すことで、自分が思っていたよりも残業や持ち帰りの仕事をしていたことに気づきました。アンケートの結果から、他の先生たちも残業や持ち帰り仕事をしていることを知り、実態を把握することが今後のとりくみにつながっていくのだと思いました。実態に即した時間外労働規制や人員増が急務だと保護者にも訴えていきたいです。
▲9月26日に記者会見を行った静岡自治労連保育部会
住民のいのちと健康を守る砦
地域医療を守ろう 長野・浅間総合病院労組の組合員
佐久市立国保浅間総合病院労組は、長野県自治労連に加入して6年目。当時、委員長を引き受けたばかりの私は、自治体病院の課題や政策への知識が不足し、当局と対等な交渉ができていませんでした。しかし、長野県自治労連の支援や、自治労連の集会に参加するなかで経験を重ねて、組合の姿が見える職場訪問や、職場の声を客観的なデータにして交渉にいかすことを学びました。
昨年は自治労連の「自治体病院に働く労働実態調査アンケート」結果や単組独自の実態調査をいかすなど、以前とは見違えるほどです。
いま、厚生労働省の病院再編リストについて、地域の病院と連携して地域医療を守るたたかいをすすめています。12月14日に佐久社保協のキャラバン行動学習会が開催され、佐久市周辺の住民や市町村議会議員に、自治労連や単組でとりくんでいる病院の再編統合問題について説明。住民と意見交換し、病床削減問題を共有しました。
立場が違っても地域医療を守る思いは病院当局も同じです。地域住民に必要とされる病院であるために、私自身、自己研鑽に努めながら、労働者の権利を勝ち取るために今年もがんばります。
▲キャラバン行動学習会で問題意識を共有
自治労連運動の継承と発展を
「青プロ」成功をめざして 福岡・北九州市職労の組合員
昨年、自治労連が結成30周年を迎えました。いよいよ今年、周年企画の「青年未来づくりプロジェクト(青プロ)」が5~7月にかけて各地方ブロックで行われます。
ブロックでの青年の横のつながりを強化しながら、私たちの先輩たちや自治労連が何を大切にして活動してきたか、30年の歴史を学び、全国の青年が改めて自治労連運動の大切さやその意義を考えて、受け継いでいくきっかけになればと思います。すでに各ブロックで開催に向けた実行委員会がすすめられ、成功に向けた熱い会議の様子が伝わってきています。
また、この間に青年部の立ち上げや再建が議論されている単組もあります。これまで各地の青年部では、青年共通の想いをもって要求行動や提言書づくり、多くの学習会を実施し議論が行われてきました。
歴史を学び、組合員同士の交流を深めることが、よりいっそう自治労連の結束と活動の展望につながります。ぜひ、全ブロックの「青プロ」成功に向けて、みなさんの職場でも参加と協力を呼びかけて青年を送り出してください。
▲25周年事業「おきプロNEXT」フィナーレ(2014年)
二度と悲劇は起こさせない
長時間労働是正を 神奈川県職労連の組合員
神奈川県職労連は、2016年12月から本庁職場の残業実態調査を続けています。ノー残業デーの夜に組合員が各職場を回って在庁者をカウントし、合わせてアンケートを集めています。
残業調査により、恒常的な長時間労働や不払い残業の実態を明らかにしてきました。調査結果を機関紙やチラシで職員に伝え、交渉に活用しています。当局の会議でも組合機関紙が配布され議論されているそうです。
長時間労働の多い職場において3年間で125人の人員増。昨年度は45年ぶりの条例定数増を勝ち取りました。不払い残業の解消についても、当局に超勤命令の管理の徹底をさせています。残業調査アンケートには「初めて時間外手当がすべて支給された。組合の粘り強い運動の成果。ありがとう」と職員の声が寄せられました。
3年前に過労自死をした職員の遺族が昨年11月に県を提訴しました。遺族は「二度とこのようなことを起こさないため」に長時間労働の是正とパワハラの解消を求めています。私たちも引き続き残業調査を続け、パワハラを許さない職場づくりを訴えていきます。
▲アンケートの回収を行う神奈川県職労連
制度の適用範囲の拡大で前進
必要な時に取れる育休を 京都・宇治市職労の組合員
双子が生まれるとわかり、夫婦で相談して3年前に育休をとりました。宇治市に就職して8年、市民税課で忙しくしていた時期です。
上司に相談して、当局主催の「育児パパセミナー」に参加し、制度の詳細や給与面などを知りました。
育休期間は市民税課の仕事が落ち着く6月からの3カ月間取りました。子どもとの豊かな時間はもちろん、料理から洗濯、掃除と育児と何でもできるようになりました。育休取得後は、「何か手伝おうか?」ではなく、夫婦お互いが連携して、気付いたらやるという感じに変わりました。
職場復帰の時、出勤前は少し不安でしたが、すごく自然に職場に戻れました。職場の仲間には感謝です。
宇治市職労では、より多くの仲間が育児休業を取得できるよう、要求書への盛り込みはもちろん機関紙特集も行っています。昨年の新年号には育休をとった仲間の座談会も掲載しました。また、職員の休暇制度に対し、職場から要求があった適用範囲の拡大を交渉で勝ち取り、喜ばれています。
▲「制度があっても、忙しくて取得できない職場環境では意味がない」と制度改善、人員要求を求める宇治市職労