新型コロナ感染から住民を守る 組合も当局も一丸となって
静岡・浜松医療センター労組
▲地域の花屋さんから感謝のメッセージ
不安のなかで励ましあい
静岡・浜松医療センター(以下、センター)は、第2種感染症指定病院として、一般外来の建物とは別棟で感染症外来と病棟(6床)が併設されています。止まらない新型コロナウイルス感染症への対応と通常診療で日夜奮闘している現場の状況を浜松医療センター労組の仲間に聞きました(取材日4月15日)。
▲齊藤富士子委員長(右)と成毛(なるけ)玲子副委員長(左)も、クルーズ船からの感染症患者の治療に従事しました
クルーズ船患者の受け入れから始まった
2月の横浜港でのクルーズ船におけるコロナ感染が判明し、センターでも患者対応を行いました。軽症でしたが、検査で2回連続陰性になれば退院となるのですが、2回目がなかなか陰性とならず、1カ月ほど対応が続きました。最終的には全員退院できましたが、「患者にとってはかなり負担となったと思う」と齊藤富士子委員長は振り返ります。
現在、センターでは一般外来も含め来院する全員に検温と問診を実施し、発熱がある場合は「発熱トリアージ室」で問診を受け、入館の可否を判定しています。
これまでは感染症病棟の稼働は10年ほどありませんでしたが、一般病棟の一つ(50床)を閉鎖し、感染症病棟への人員体制を確保しました。看護師体制は19人で、病棟勤務は3人3交代。「発熱トリアージ室」も対応しています。
▲今回、感染対策のためにウェブ取材を行いました
感染リスクに疲労と不安かかえる
当初、一般病棟や外来勤務から選抜したチームが感染症病棟に配置されるなか、「疲労感がひどい」「いつもとは違うメンバーで緊張した」「自分が抜けた外来に負担をかけて申し訳なく思った」など看護師の負担は大きくなりました。
経験が長い看護師中心で対応しましたが、現在は閉鎖した病棟看護師が専従となり、経験の浅い看護師も含めて体制を組んでいます。守秘義務もあり家族に悩みや不安を話せず、病院に勤務していることで家族への風評被害が出ないかなどの不安の声もあります。
公立・公的病院だからこそ対応できる
センター全体のマスクの消費量は1日1500枚ですが、現在は、ガーゼを入れるなど、1日600枚に抑えています。在庫からすると、あと100日分ほどです。
「医療従事者にマスクがないのは無防備。外来は特に心配。にもかかわらず、感染した場合は院内感染と言われるのは矛盾を感じる。介護施設も大変だと思う。人も資材も足りないなか一生懸命やっていて叩かれるのはつらい」と齊藤委員長。
また、「経営にも影響があり、病棟一つ閉鎖し体制を確保したことで、日に300万円ほど減収。これでは民間病院が困るのは当然です。今こそ公立・公的病院ががんばる時です」
地域の励ましを力に
「今週、お花をもらったんです。地域のお花屋さんがメッセージを付けた小さな花束を、職員や看護師に届けてくれたのですが、とてもうれしかった」と成毛玲子副委員長が写真を見せてくれました。花束には「外でゆっくりできない日々ですが、少しでもお花見気分を」「人への思いやりの大切さを改めて学んでいます」と一つひとつに手書きの文字。「お花屋さんも大変な時なのに。いま自宅に飾っています」と喜びを語りました。
職場と組合が職員を支え励ます
感染症対応はストレスが高いため、休暇を多めに取れるようシフトを組んでいますが、有給休暇ではなく「特別休暇」にするよう組合で求めています。「不安の声があったら、すぐに組合で要求し、ニュースにしている。大変だけど組合があるよと励まし合っている」と組合の存在の重要性を再認識しています。
また、「当局もコロナ対応を組合と協力していくことを考えている」と病院一丸となる決意を語ります。「4月からの新入看護師も、全体で仕事を教えてフォローしようと改めて確認したところです」と齊藤委員長。
最後に「全国で奮闘する仲間に敬意しかない。プロ意識を持っている仲間を尊敬します」とメッセージ。また「医療従事者に物品と人員、休息を」と切実な要求を訴えました。
▲一般600床と感染症6床、看護師・職員517人が働く浜松医療センター