子どもたちの笑顔が戻って保育ができる喜びあふれる
コロナ対策に向けてもっと人員をゆとりを 愛知 名古屋市職労
▲絵本を読み聞かせる坂本将取さん
名古屋市では6月から保育園への登園自粛が解除され、子どもたちが元気に保育園に戻ってきました。新型コロナウイルス感染に注意しながらも奮闘する現場の様子と課題、保育の魅力について、名古屋市職労執行委員の坂本将取(まさと)さんに話を聞きました。(6月18日WEB取材)
走り回る園児たち 楽しみにしていた再開
「久しぶりの保育園に到着したとたんに、大喜びで廊下を走り回る園児もいるんですよ」「初日は一気に人数が増えてあちこちで騒いだり、園での流れを忘れてしまった子もいたりで大変でした」と笑顔の坂本さん。また、園児だけでなく保護者からも「本当に久しぶりです」「保育園のありがたみがわかった」と喜びと安堵の声をかけられるそうです。
登園自粛期間中も、保護者が園の近くを散歩してくれたり、子どもにねだられて少しだけ顔を見せに来てくれたり、再開を楽しみにしていた様子を教えてくれました。
子どもたちに家での様子を聞くと、外出ができないので「ずっとゲームしていた」「ユーチューブ見ていた」と話してくれる子もいたそうです。
卒園式も誕生日会も感染対策で大変
名古屋市は4月10日の愛知県緊急事態宣言を受け、15日から登園自粛を保護者にお願いすることになりました。当初は5月6日まででしたが、5月末までの自粛延長に。3割ほどの登園率となりました。
感染への不安もあるなか、電車通勤の坂本さんも手すりや吊り輪などに触れないよう気を付けて出勤。混雑を避けて、朝番はさらに早く出勤する仲間もいました。
園児たちには手洗いとうがいを促し、園児が口に入れそうなものは消毒を徹底し、誕生日会などの行事もいままで通りできないことに「どうしようか」と職場でも悩みました。
卒園を控えた年長クラスを担任していた坂本さんは、「卒園前の最後に『みんなで地下鉄に乗ってでかけようね』と子どもたちも楽しみに計画していたのですが、徒歩に変更しました。卒園式も簡素化せざるをえなかった」と残念そうでした。
自粛期間中開けなかった誕生日会も先日4・5・6月の合同で開催。7月の夏祭りも各クラスごと、保護者の参加も年長だけに制限せざるを得ず、まだまだ大変な状況は続きます。
子どもたちと向き合う心持ちは変わらない
6月の再開が近づき職員も「子どもたちが戻ってくる」と嬉しく待っていました。今後どうコロナと付き合っていくか、今も試行錯誤ですが「いざ子どもと向き合うと保育士としての心持ちは、いい意味で変わらないですね」「マスクをしていて表情が見えにくいだろうとか、声が聞こえにくいだろうとか考えるけれど、子どものために保育をすることが大事ですから」と坂本さん。
まわりの仲間も同じようにがんばっていて、「保育士って芯があるな」と改めて保育士の役割とやりがいを確認したそうです。「こんな時でも、どうやって前向きに変えていくかを考えています」とポジティブ。
第2波に備えて正しい情報と人員増を
コロナ対応で困ったことは「何が正しい情報かわからなかったこと」と振り返ります。
名古屋市は、当初「公立保育園はプールを行わない」としていました。しかし、5月29日の厚生労働省の通知で、名古屋市の方針も変更になりました。最終的には各園の判断となり、プールの頻度を減らし半数ずつ入れるなど密を避けて実施へ。「市当局も丁寧に科学的な根拠と具体的なモデルを示してほしい」と坂本さんは訴えます。
また、名古屋市の公立保育園で感染者が出た際に、詳しいことは知らされず、「一時閉園をした事実だけが伝えられた。実際のシミュレーションやマニュアルが現場にない」と第2波に備えた対策も求められています。
「職務免除や在宅勤務、妊娠している職員の通勤緩和などを勝ち取った」と組合の力を語る坂本さん。「根本的な人員増が必要です」と奮闘する決意を固めています。
▲子どもたちにもイラストでわかりやすくコロナ対策を教えています