自然災害に負けないまちづくりめざして
2020 岩手県地方自治研究集会 岩手自治労連
▲復興のシンボルとして住民に愛されている三陸鉄道
7月18日、「2020岩手県地方自治研究集会」が盛岡市内で開催され、県内の自治体労働者や住民・研究者・地方議員など、全体会・分科会でのべ152人が参加しました。岩手自治労連からは15単組56人が参加し、自然災害の経験と教訓、職場や労働組合でのとりくみを発表し意見交流を行いました。
地域に支えられた三陸鉄道
全体会では、三陸鉄道株式会社の中村一郎社長が記念講演。三陸鉄道は国鉄の分割民営化後、岩手県や沿岸自治体、民間の出資による「第三セクター方式」で運営され、三セクの鉄道会社としては163キロと日本最長の運行区間を誇ります。
壊滅的な被害を被った東日本大震災、近年の台風災害などを自治体、住民、全国からの支援で乗り越え、お座敷列車、震災学習、落語列車、三陸ランチ列車、「あまちゃん」列車など企画列車を走らせてきました。
中村社長は、「三陸鉄道の経営理念は、①地域の足の確保②産業振興、地域活性化への貢献」「みなさんの支援を受けながら、山もあり谷もあれどもひたすらに笑顔をつなぐ三陸鉄道としてこれからもがんばりたい」と三陸鉄道の役割を参加者に訴えました。
参加者からは「苦難を社員と協力し乗り越えようとする姿を、自分の今後にいかしたい」などの感想がありました。
住民守る自治体の役割が浮き彫りに
全体会後、4つの分科会が行われました。第2分科会「住民が主人公の災害に強いまちづくり」では、被災地の釜石市職労、大槌町職、岩泉町職、自治体一般久慈支部が震災後の街づくりや防災・避難所の在り方について、大船渡市職は震災対応での人員確保や職員の健康対策を紹介。参加者からは「コロナ禍で震災の教訓をどういかすか、改めて自治体の役割が浮き彫りになった」と感想がありました。
第3分科会「全世代型の社会保障を考える」では、盛岡市職労が保育の民営化の問題点を報告。「コロナ禍で社会保障をより良くしていく必要性を感じた」と会場から共感が寄せられました。
第4分科会「行政の委託化と憲法を生かす自治」では、陸前高田市職労が包括業務委託、一関市職労が窓口業務の委託の問題点をそれぞれ報告。自治体一般労組からは盛岡市動物公園の公民連携事業の状況について報告され、さまざまな立場の参加者と意見交流しました。
安心して住み続けられる地域へ
中野盛夫実行委員会事務局長(岩手自治労連委員長)は、「10月の全国集会開催中止は大変残念だが、プレ企画として開催した今回の岩手自治研には、自治体労働者も数多く参加し、停滞していた自治研運動を発展させる足がかりができた」と振り返ります。
そして、全国の仲間に「コロナ対策や続発する自然災害への備えを国が責任をもって行うべき。住み続けられる地域づくりめざして、職場での自治研活動を積極的にすすめよう」と訴えました。
お知らせ
10月「第15回地方自治研究全国集会in岩手」の開催中止について
10月3~4日に予定された「第15回地方自治研究全国集会in岩手」の開催について、21団体共同実行委員会および現地岩手県実行委員会は新型コロナ感染の状況をふまえ、中止を決定しました。
▲講演する三陸鉄道株式会社の中村一郎社長
▲分科会で「平和憲法を守ろう」と署名活動にとりくんだ経験を報告する平泉町職の組合員