いま、最前線で住民生活を支える仲間へ パートⅣ
[新型コロナ] 自治労連 教育部会 非正規公共評議会に聞く
都市部を中心に新型コロナ感染症の感染拡大に歯止めがかかっていません。8月から労働者や児童・学生も夏休みに入り、人の動きが活発化しさらなる感染拡大が危惧されています。自治労連教育部会の清水ますみ幹事と非正規公共評議会の増川久美子幹事にこの間の現場の実態やとりくみについて聞きました。(WEB取材)
コロナ禍のもとでも学習権と知的自由を
自治労連教育部会
横浜市の図書館で司書をしています。新型コロナ対策で、当初部分休館となり、予約の本の貸し出しと返却のみとなりましたが、「本、見られないの?」「図書館も開いていないのか」とがっかりして帰る方もいました。
私たちはせめて「自粛中の子どもたちのためにできることを」と児童向けに「司書おすすめセット」の貸し出しを行うなどの工夫もしました。
4月上旬には図書館は全面休館になりましたが、閉鎖中も図書は返却されるため、書架に収まりません。そもそも図書館が保有する書籍は膨大で、貸し出しと返却の循環を前提にしています。
感染対策しつつも身近な図書館のままで
図書館が再開し、本のおはなし会も再開すると、待ち望んでいたように子どもたちと保護者がたくさん参加して喜んでもらえたことはうれしかったです。
今、図書館ではマスク着用はもちろん、ビニールカーテンや衝立の設置などを行っています。学校図書館などでは返却本を1冊ずつ消毒する学校もあるようですが、横浜市の図書館では膨大な返却本をすぐに書架へ戻さず、一定時間をおく方法で対応しています。
また、「感染者が出た場合のために」と入館者の名前と連絡先を求めるなどが検討されましたが、「図書館の自由」と個人情報保護を考えて現場からも声をあげて、おはなし会などでの最小限度の対応にとどめています。
読書と学習でこころを元気に
私たち教育部会には学校図書館や公民館などの生涯学習・社会学習にかかわる仲間がいます。住民の学習権、知的自由を保障する活動をすすめており、例えば「専任・専門・正規」の司書を学校図書館すべてに配置することを求めるなど、住民と連帯しながら、民主的な教育の実現をめざす方針をもっています。
今後、コロナ禍で「いかに学習権と知的自由を保障するか」が問われていると思います。
私自身も5月ごろに今回のコロナのこともあってか落ち込むときがあり、本を読み考えるなかで、持ち直したことがありました。読書や学習にはそれだけの力があると確信しています。
全国の仲間と励まし合い困難を乗り越えよう
自治労連非正規公共評議会
広島市は6月から小学校が再開し、私の勤める放課後児童クラブ(学童保育)では、休校当初から指導員も子どももマスクを着用し、3密のリスクと背中合わせの生活がずっと続いています。
子どもが楽しみにしている遊戯室での遊びは少人数で5分交替、遊んだ後も必ず手洗いを励行しています。部屋の換気や消毒作業等、感染防止のためにできることは何でもやっています。
指導員は「感染したら、感染させたらどうしよう」「子どもを管理するような接し方になっていないか」と悩みながら日々子どもたちと向き合っています。
子どものいのち守る仕事 生活できる賃金を
感染リスクがあるなか子どもたちのいのちを預かっている指導員が、自治体の正規職員ではなく、非正規・会計年度任用職員のままであってよいのでしょうか。
感染症だけではありません。広島市では西日本豪雨や土砂災害などの災害時に、指導員だけが職場で待機して取り残されたこともありました。
留守家庭子ども会指導員労組は、これまで運動と交渉を続けて会計年度任用職員制度導入における労働条件を改善し、初任給を15万円台に乗せました。しかし、それでも退職者が出ます。必要人員552人に対して昨年4月時に31人の欠員でスタートし、今年4月は58人の欠員です。
責任ある業務内容を担っているにもかかわらず、生活できるだけの賃金ではないことに離職の原因があるのは明白です。
各地で成果勝ち取り奮闘する非正規の仲間
4月から会計年度任用職員が全国で導入されるなか、少しでも働きやすく、長く仕事を続けられるよう各地で非正規の仲間が組合加入をすすめてたたかっています。
また、新型コロナで自宅待機した際の給与保障などについても各地で勝ち取りました。
一方で、大阪・守口市ではベテラン学童保育指導員が大量に雇い止めされ、仲間が保護者や住民とともに奮闘しています。
私自身、全国の仲間とつながることで、各地の実情をつぶさに知ることができ、「がんばろう」と勇気づけられてきました。労働組合と励まし合える仲間がいることは、困難を乗り越える支えになると実感しています。
みなさん、がんばっていきましょう。