シリーズ38 いちから学ぶ仕事と権利 正規・非正規の均等待遇実現に向け大きな前進
均等待遇
有期雇用社員と正社員との均等待遇を求めていた裁判で、最高裁は「扶養手当、夏期・冬期休暇、無給の病気休暇等」の差を不合理としました。全国の非正規労働者の均等待遇実現に向け、大きな一歩を踏み出しました。
非正規労働者に希望与える最高裁判決
最高裁は、10月15日に日本郵便株式会社の有期雇用社員が正社員との労働条件格差の不合理性を訴えていた郵政産業ユニオンの裁判で、扶養手当、年末年始勤務手当、年始期間における祝日給、有給の病気休暇制度、夏期冬期休暇制度などについて正社員との格差が不合理であることを認める判決を言い渡しました。
これら手当および休暇制度の格差を旧労働契約法20条に照らして違法と最高裁が判断したことは、日本の労働者の4割にもおよぶ2100万人とも言われる非正規労働者を励まし、希望を与えるものであり、均等待遇実現への大きな一歩です。
扶養手当・病気休暇など不合理な格差は違法
最高裁は、扶養手当について「契約社員についても、扶養親族があり、かつ、相応に継続的な職務が見込まれるものであれば、扶養手当を支給することは妥当」としました。非正規労働者が家族と安心してくらせる生活設計に光を見いだす当然の判断です。
また、有給の病気休暇について「生活保障を図り、私傷病の療養に専念させることを通じて、その継続的な雇用を確保するもの」であると位置づけ、有期の時給制契約社員であっても「相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば妥当」として、病気休暇に有給と無給の相違を設けることは不合理としました。正規・非正規の別なく、私傷病の療養に専念できることは人間としてこれも当然の判断です。
他にも、年末年始勤務手当、住居手当、年始期間における祝日給、夏期冬期休暇制度についても格差は違法としました。
あらためて職場点検と改善要求をすすめよう
旧労働契約法第20条の規定は、今年4月よりすべての事業所に適用されるパートタイム・有期雇用労働法第8条および第9条に「不合理な待遇の禁止・差別的取扱いの禁止」として明記されています。
公務公共関連職場や一般地方独立行政法人の仲間にも本判決の趣旨に沿った改善が求められます。みなさんの職場にこのような格差がないか、あらためて点検し、改善を要求しましょう。