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第48録 ふくしまの自然から地球の未来を考える

いい旅ニッポン見聞録2020年4月号 Vol.557

水辺の生き物に出会える場所

ふくしまの自然から地球の未来を考える

福島県猪苗代町・アクアマリンいなわしろカワセミ水族館

▲館内の様子。県内に棲息するイワナやヤマメなどの川魚の他、カワセミやカワガラスなどの野鳥も展示

みなさんは、湖や池、沼地などの水辺に棲息する生き物のことをどのくらい知っていますか?

福島県猪苗代(いなわしろ)町には、淡水魚を中心に水辺に棲む生き物を展示する全国的にも珍しい水族館があります。その名も「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」。

同県いわき市には「アクアマリンふくしま」がありますが、どちらも公益財団法人ふくしま海洋科学館が運営している施設で、娯楽的な展示ではなく、自然のなかで生き物が営むくらしをありのままに近い形で展示していることが特徴です。

近年、田園地帯の開発や農業の大規模化がすすみ、昔ながらの小川が流れるような里山の風景が減少しつつあるなか、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館では「ふくしまの湖沼群を通して人と地球の未来を考える」をコンセプトに、ゲンゴロウ類などの水生生物や淡水魚など、失われつつある希少な淡水生物が生きいきと展示され、来館者の注目を集めています。

特に「カワウソのふち」のコーナーでは、2012年に絶滅が宣言されたニホンカワウソに遺伝子的にも外見的にも類似性をもつユーラシアカワウソを展示し、私たちが失いつつある「人と自然とのつながり」を伝えています。カワウソは「チロル」と「ゆき」の2匹の雌で、「ゆき」は前述のアクアマリンふくしまで生まれました。1日に2回あるカワウソのお食事タイム(10時、15時)は、その可愛らしい姿を見ようと、大勢の来館者が集まる人気の時間です。

その他、ヤマメ、メダカ、タナゴなどの淡水魚や、県内の水生昆虫を中心に両生類など約100種類を20㌢の立方体水槽に1種類ずつ展示し、種の多様性にスポットをあてた展示のほか、貴重な冬虫夏草の液浸(えきしん)標本を48種類も展示しています。

敷地内には釣り体験ができる屋外施設があり、釣った魚をその場で調理して食べることができます。こちらは屋外にあるため、4月下旬から11月上旬までの期間限定になりますので、ご来場の際はご注意ください。

また、近隣には福島が誇る世界の偉人、野口英世の生家のある記念館があるほか、磐梯(ばんだい)山と猪苗代湖が育む豊かな自然があなたを待っています。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

見聞録メモ
福島県耶麻郡猪苗代町大字長田字東中丸3447-4
問合わせ:0242-72-1135
入館料:一般(高校生以上)700円、小~中学生300円、未就学児無料
開館時間:3月1日~10月31日は9時30分~17時
11月1日~2月28日は9時30分~16時
休館日:年中無休

▲水族館外観

▲カワウソの餌やりの様子