東日本大震災から10年 住民本位の復興を仲間とともに
陸前高田市職労・岩手自治労連
▲区画整理された陸前高田市中心地(市提供・2020年)
東日本大震災から今年3月11日で10年を迎えます。全国からの支援と激励を受けて、災害復旧・復興に歩んできた岩手・陸前高田市。復興への思いや現状、課題を陸前高田市職労の長野貴治委員長と、岩手自治労連の中野盛夫委員長に聞きました。
震災の経験と思いを胸に
▲陸前高田市職労 長野 貴治 委員長
「早く復興を」「負けられない」の思いで自治体に入職し奮闘
当時、私は隣の気仙沼市の民間企業で働いていて被災しました。民生委員で住民を避難させていた親族は震災で命を落としました。
そして、私が生まれ育った陸前高田市は変わり果てました。半年たってもガレキばかりのまちを見るなか、「早く復旧できないか」と強く思っていました。
ちょうどその時、市の職員募集を見て、「少しでも力になれれば」との思いで、翌12年の1月に土木技師として入職しました。民間との違いに戸惑いはありましたが、職場は「早く復興を」と職員も全国からの派遣職員も奮闘していて、「私も負けられない」と業務に専念してきました。
区画整理完了に10年 再び活気のあるまちへ
この10年間で土地の底上げと区画整理がほぼ完了しました。区画整理に関わっていたこともあり、住民の「早く家を建てたい」の思いに「一日でも早く引き渡そう」とがんばってきました。
まだまだ区画整理された土地が空いている課題はありますが、若い世代も移住しています。
震災前よりも活気のあるまちにしたいと、たくさんのイベントが計画されました。特に10月31日の「三陸花火大会」はとても良かったです。
「陸前高田の今」を全国のみんなに届けたい
今年、全国の職員派遣が終わります。いっせいに引き上げるわけではないですが、現場は厳しいです。組合でも要求していますが、国の責任できちんと対応してもらいたいです。
これまでたくさんの方々に支援していただきました。個人的にも全国につながりができて、今でも連絡を取り合っています。その恩返しの意味を込めて、「陸前高田の今」を、今年みんなに届けられればと思います。
▲津波によって甚大な被害を受けた陸前高田市(2011年)
▲昨年10月31日に行われた三陸花火大会(市提供)
行政と住民をつなぐ役割を
▲岩手自治労連 中野 盛夫 委員長
いち早く救援に動いた自治労連の仲間たち
震災直後、電気、交通機関等が麻痺するなか、3月13日には岩手自治労連を含む労働組合と民主団体などで「共同対策本部」を立ち上げました。岩手自治労連の仲間は、当面する課題すべてを「大震災」対策に絞り活動してきました。
4月22日に、自治労連本部が陸前高田市内に現地支援センターを設置。連日、泥やごみの撤去、住民への要望聞き取りなどが行われ、全国からのボランティアは5500人を超えました。
さらに5月中旬からは、市当局とも連携を取りながら『広報りくぜんたかた臨時号』の配布を手伝い、住民から感謝され、自治体に対する要望が出されるなど、自治労連が行政と住民をつなぐ役割を果たしました。
教訓を確信にして自治体の役割を明らかに
この10年間で感じているのは、第1に自治体労働者自らが被災しながらも、住民のために職務にあたったこと。第2には政府がすすめてきた公務員削減で、業務遂行に困難が生じたということ。第3に、自治労連という全国組織が大きく役割を発揮したこと。第4に住民本位の復興をめざす運動が県政を動かし、医療等をはじめとして岩手の支援制度を大きく拡充させてきたことです。
公務公共サービスの産業化の攻撃が強まるもとで、東日本大震災からの復興の過程で学んだ教訓を確信とし、安全・安心のまちづくりとともに、自治体と自治体労働者の役割を明らかにするとりくみが求められています。
▲いち早く救援カンパを呼びかけた兵庫自治労連
▲全国から多くのボランティアが集まった鈴木旅館
〈告知〉2月20日に「3・11東北と全国の仲間でつなぐ全国交流集会」をWEBで行います(自治労連主催)。ぜひご参加ください。