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住民のためにいい仕事を

「こんな地域と職場をつくりたい」運動 全国交流集会から

▲深夜まで明かりが灯っていた本庁舎(2018年)

「こんな地域と職場をつくりたい」運動全国交流集会が5月15日にWEBで行われ、全国のとりくみが報告されました。働きやすい職場づくりに向けた東京・世田谷区職労のとりくみと、地域商店街へのアンケート活動からシンポジウムを開いた京都府職労連のとりくみを紹介します。

「こんな地域と職場をつくりたい運動」とは?

自治労連は、住民が安心して住み続けられる地域の実現と、自治体職員・公務公共労働者が安心して働き続けられる職場の実現をめざす「こんな地域と職場をつくりたい運動」を全国の仲間とともにすすめています。憲法の理念や地方自治の役割を守り・いかして、医療や社会保障・教育などをはじめ住民の生活をより豊かにできる仕事を追求し、同時に職員自身も住民のための仕事に専念できるよう、職場から長時間労働を一掃させ、予算も人員体制も充実させるとりくみを地域住民とともに共同してすすめています。

職場環境改善で住民サービス向上へ 東京・世田谷区職労

調査結果や職場の声で職場改善すすめる

東京・世田谷区は人口92万人を超え、行政職だけで約5500人の職員が働いている自治体です(21年5月現在)。人口が増え続ける一方で、2011年までの15年間で1348人の定数削減が行われ、長時間過密労働がまん延し、メンタルヘルス不全が増える事態になりました。

世田谷区職労は、2013年から「超過勤務手当不払い等に関するアンケート」にとりくみ、調査結果や職場の声をもとに当局と交渉を続け、職場改善をすすめてきました。2018年には、超勤の事前命令の徹底や22時以降の超勤を原則禁止とする「新たな超過勤務ルールの本格実施」が始まり、アンケート調査でも長時間の残業は少しずつ減少し、不払い理由の「請求しにくい雰囲気」も減るなど変化・改善がみられました。

子育てしやすい職場環境も住民サービスも充実を

現在、40歳未満の職員が過半数を超えています。子育て世代が働きやすい職場をめざし、2019年には「子育てと仕事の両立を考える」学習会を若手職員向けに実施。女性部長が「昔は育休産休そのものがなかったが、労働組合で勝ち取ってきた」と、労働組合への結集の重要性を訴えました。職場の強い要求である育休代替の常勤配置も73%まで到達しています。

世田谷区職労の福島大輔書記長は「長時間労働の是正、職場の改善は住民サービスの質にかかわる。引き続き、組合員の力に依拠したとりくみを追求していく」と決意を語りました。

地域と対話し自治体の役割を考え深める 京都府職労連

商店街コロナ実態調査 293店舗と対話

京都府職労連は昨年、コロナ危機のなかで商店街の実態調査を計4回、のべ431店舗を訪問し293店舗と対話した経験を報告しました。

経営者との対話で「売り上げが5割減った」などの深刻な状況や、国の持続化給付金などの手続きが「申請に行くと店を閉めなくてはいけない」「手続きが難しい」「ネットでは無理」など行政のサポートを求める声があることがわかりました。

京都府職労連は、調査結果と声をもとに、給付金・補助金の申請方法の改善などを副知事に要請するなどしてきました。

今回の調査をふまえ、2月28日に「住民と自治体労働者のつどい」をWEBで開催し、研究者と商店街役員を招き、コロナ危機での地域経済と自治体の役割について参加者で考えを深めたことが報告されました。

地域・職場での対話すすめる力と経験が重要

報告を行った京都府職労連青年部長の石堂拓人さんは「最初は躊躇や不安もあったが、今回の調査を通して、『職員が足を運んでくれたことがうれしい』と普段聞けない住民の声を聞けたことは良かった」と振り返りました。

また、「この間、京都府職労連では対話や組織づくりのコミュニティ・オーガナイジングを学び、組合活動や今回の調査にいかしてきた。地域や職場での対話や組合活動をすすめるための力と経験をつけていくことが重要だ」と訴えました。

▲2月28日の「住民と自治体労働者のつどい」。

▲QRコードで視聴できます

基幹産業の課題と展望を共同調査へ 自治労連愛媛県本部

自治労連愛媛県本部は、住み続けられる地域づくりに向けて、特産物であるかんきつ類を育てる農家が抱える課題と展望を明らかにするための共同調査プロジェクトについて報告。

堀川孝行・自治労連愛媛県本部書記次長は、2018年の西日本豪雨災害からの復旧復興、かんきつ農家へのボランティアを通して「かんきつ類は、水はけが良く潮風が当たる場所ほど糖度が増すと言われており、園地のほとんどが急斜面。軽トラ1台が辛うじて通れるほどの農道が網の目のように張り巡らされており、園地の復旧には相当な時間と労力が必要だ」と振り返りました。

プロジェクト会議も始まり、被害を受けたかんきつ農家を対象に、JA職員や愛媛大学の研究者などと共同し、アンケートの準備をすすめています。

▲愛媛県本部も参加した収穫作業ボランティア

いっせい職場訪問を定期的に始めよう 岩手・大船渡市職

岩手からは大船渡市職の「いっせい職場訪問」の経験について、新沼優・岩手自治労連書記長(大船渡市職)が報告しました。

大船渡市職は「メンタル不調による病休者は出さない」をモットーにして、正規職員から会計年度任用職員まで一人ひとりに機関紙配布時などに、対話する機会を大切にしていることが語られました。実効性ある「時間外労働の上限規制」を実現するとりくみについて、新沼書記長は「自治体労働者の自己犠牲的な長時間労働に支えられた行政運営を住民は望んでいない。『いっせい職場訪問』を一過性のものにするのではなく、定期的な職場訪問を始めるきっかけにしよう」と呼びかけました。

▲集会で報告する岩手自治労連の新沼書記長

大阪・静岡の仲間からも地域に踏み出した経験が報告される

大阪府職労がとりくんだ「保健師、保健所職員増やしてキャンペーン」では、保健師、保健所職員がSNSを活用して訴え、大阪府は数十年ぶりに大幅な定数増、保健所も保健師の増員を実現しました。

静岡・市立湖西病院労組は、蒲原病院、湖西病院住民アンケート調査を通して地域医療を守るとりくみを報告しました。湖西市での報告集会では、住民にとっての地域医療、公立・公的病院の必要性を共有しました。

▲集会の中身はこちらからご覧いただけます

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