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シリーズ47 いちから学ぶ仕事と権利 妊娠・出産・育児と仕事の両立ができる制度と職場の改善が急務

育児休業、不妊治療休暇

人事院は、国家公務員の育児休業の取得回数の制限緩和や不妊治療休暇の創設、非常勤職員の両立支援にかかわる休暇の創設や有給化に言及しました。地方自治体でも同様に制度化をめざしましょう。

地方自治体が先行制度化を後押し

人事院は8月、育児休業の取得回数制限の緩和のため「国家公務員の育児休業等に関する法律」の改正を国会・内閣に対して意見の申出を行うとともに、「妊娠・出産・育児等の仕事と両立支援」として不妊治療休暇の創設に言及しました。

不妊治療休暇について人事院は、「地方公共団体においては、不妊治療のために使用できる特別な休暇等を措置している団体が一定数ある」と説明しています。

不妊治療休暇は、これまで自治労連の地方組織や単組が職場要求にもとづいて当局と交渉し、実現してきた制度です。私たちが勝ち取ってきた制度が広がり、国の制度創設につながりました。

正規・非正規雇用問わず休暇制度の拡充を

また、国の非常勤職員についても、不妊治療休暇や配偶者出産休暇、育児参加のための有給休暇の創設をはじめ、産前・産後休暇の有給化に言及。

人事院は「妊娠、出産、育児等のライフイベントが生じ得ることは常勤・非常勤といった勤務形態で変わるものではない」と説明しています。

一方で病気休暇は、今回の報告で有給化に言及していません。不合理な格差解消の観点からも問題であり、有給化を求めていくことが重要です。

気兼ねなく休暇取れる職場環境の整備を

国家公務員で制度化・有給化されるものについて、未実施の自治体でも制度化・有給化させていきましょう。また、すでに国を上回る制度となっている場合は、後退させないようとりくむことが大切です。

しかし、制度が拡充されても、職場では、繁忙な職場実態から制度の使用をためらう声もあります。実際、地方公務員の男性職員の育児休業取得率は、わずか8.0%(2020年総務省発表)と低い実態です。

制度運用を実効あるものにしていくために、職員の人手不足の解消をはじめ、誰もが気兼ねなく制度活用ができる体制や職場環境の整備が求められています。

妊娠・出産・育児等と仕事の両立支援のため講じる措置の概要

1.育児休業の取得回数制限の緩和等
 ①育児休業の取得回数は原則1回→2回
 ②①に加えて、子の出生後8週間以内に1回→2回
 ③出生後8週間以内の育児休業請求期限を1月前まで→2週間前まで
2.不妊治療のための休暇の新設(常勤・非常勤とも有給)
 原則年5日(頻繁な通院を要する場合は5日加算)
3.育児参加のための休暇の対象期間の拡大
 産後8週間→子が1歳に達する日まで
4.非常勤職員の育児休業等の取得要件緩和、配偶者出産休暇等の新設等
 ①育児休業・介護休暇等の取得要件のうち、在職期間要件の廃止・緩和
 ②子の出生後8週間以内の育児休業の取得要件の緩和
 ③子が1歳以降の育児休業の取得の柔軟化
 ④配偶者出産休暇・育児参加のための休暇の新設(有給)
 ⑤産前・産後休暇の有給化

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