住民生活支える水事業を守れ
和歌山市水道労組(和水労)
▲崩落した水管橋の一部
10月3日、和歌山県の紀の川にかかる六十谷(むそた)水管橋の一部が崩落しました。紀の川以北地域の約6万戸で断水などが発生。和歌山市水道労組(和水労)は、近隣の応援を受けながら復旧にあたりました。住民の生活を支える水事業をどう守るのか、現場の声ととりくみを紹介します。
組合で緊急アンケート 教訓を次につなげたい
職員の奮闘で、崩壊した水管橋と並行する県道の橋に応急の水道管が仮設され、10日10日までに断水を解消しました。水管橋の復旧は来年5月末をめざしています。
一方、まだ現場で通水排水作業中であったにもかかわらず「安全宣言」が出され、記者会見では一般職員が矢面に立たされるなど、さまざまな問題も起こりました。
和水労では、今回の対応をめぐるアンケートを行い、当局との交渉を準備しています。
和水労の伊藤一三書記長は「まず、全国からの支援・応援に感謝したい。アンケートでは、現場での悔しさや怒りとともに、施設の修繕・更新と人員増、モチベーション向上を求める思いが寄せられている。今回のことを教訓化し、要求を実現して改善したい」と語ります。
ネットワークが大切 直営の強みを再確認
水管橋崩落による断水事故に、和歌山市近隣を中心に仲間が応援にかけつけました。滋賀県職(県企業庁)、名古屋水道労組、堺市職労など多くの仲間が住民への給水や仮設トイレの設置などを中心に支援しました。
滋賀県からは14事業体15台の給水車が入り、給水先の中学校は臨時休校で教職員も給水対応に従事。給水活動は10月5~11日まで行いました。
滋賀県職企業庁職員協議会の中山和也会長は、「水道行政を担う公営水道職員の連携で迅速な対応ができた。職場内の組合でのつながりも大事にしており、団結力が強いことを誇りに思う。互いに支え合うネットワークの重要性、直営の強みを再確認した」と話します。
住民とともに民営化阻止 「いのちの水」を守ろう
全国で水事業の民営化がねらわれており、すでに宮城県は上下水道と工業用水の運営権を20年間、民間企業に一括売却する議案が7月に可決されました。
一方、大阪市では、市内水道管のうち51パーセントが老朽化しており、水道管の破損事故が毎年100件以上発生。市はこれまで1件ずつ公募していた水道管の更新業務を一括で民営化する方針を決定しましたが、手をあげていた2つの企業が契約を辞退。安い事業費が問題だったとされています。
水はライフラインであり、自治体の責任で守ることが必要です。しかし全国の水道職員は、1980年をピークに30パーセント以上も削減されています(下図)。
住民とともに民営化を阻止し、安心して利用できる水事業を守りましょう。
▲住民へ飲料水を届ける滋賀県企業庁からの応援チーム