デジタル化と地方自治 自治体はどうあるべきか
第62回 地方自治研究愛媛県集会
▲全体会では2つの記念講演が行われました
第62回地方自治研究愛媛県集会が11月7日に愛媛・西条市で開催され、午前中の分科会と午後の全体会を合わせて、住民も含む85人が参加しました。行政の「デジタル化」をめぐる各分野の課題と自治体のあり方について、学び合い交流しました。
人材と技術いかし住み続けられる町へ
全体会では2つの記念講演が行われました。講師の一般社団法人リズカーレ代表理事の安形真さんは、西条市の特徴をいかして起業できる人材を10人集めた「地域おこし協力隊」を支援していると報告。県内でも先駆けてコワーキングスペースなどを手掛けた実例と教訓を話しました。
また、寄付分配アプリを提供するZENTECH(ゼンテック)代表の鈴木直之さんは、日本は寄付市場が海外に比べ小さく、西条市内でも自前の資金で運営している活動団体が多いことに触れ、アプリの利用で「西条市を良くしたい」と考える資金提供者と資金を必要とする人をマッチング・評価できるしくみを紹介。「SDGsにある『住み続けられる町へ』を考えてとりくんでいきたい」と話しました。
自治体職員として人と人をつなぎたい
参加者からは「技術が発達するなか、デジタルという道具をどう使っていくか。自治体職員として人と人をつなぐことで新たなイノベーションを生む仕事をしたい」など感想がありました。
また、玉井敏久・西条市長から「県内のそれぞれの地域が発展するきっかけに」とメッセージも寄せられました。
デジタルに替えられない自治体職員の役割発揮を
全体会では、佐賀達也・自治労連中央執行委員も講演。「デジタル化はツールとデータにわけて考える必要があり、その目的とルールがあるかも問われる」とし、愛媛県の基礎データを参考にしながら、平成の大合併時から企業がデジタル化によって住民データの利用を狙っていることなどを解説しました。
これらの動きに対して、職員がシステムをチェックし、行政責任を果たせる体制が重要とし、「デジタルには替えられない自治体職員の役割発揮、公務公共サービス充実のためにデジタル技術活用を」と訴えました。
★「自治研」とは…
「自治研」とは、「地方自治研究活動」の略称で、1957年から自治体の労働組合と住民が地方自治の拡充にむけて積み重ねてきた活動です。職場での政策研究、行政実践のとりくみには学者・研究者・市民団体が参加しており、来年10月には全国集会が予定されています。
▲医療現場のデジタル化について話し合った分科会
▲保育のIT化について学ぶ分科会