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34冊目 結びの甘芋 読売屋お吉甘味帖

図書館の本棚2021年1月号 Vol.566

34冊目

結びの甘芋 読売屋お吉甘味帖

五十嵐佳子 著

12歳の時に火事で両親を亡くし、菓子屋勤めをしながら弟と妹を育ててきた吉(きち)は、菓子の感想録「とぉんと帖」を拾われて、読売書き見習いにスカウトされます。

人気歌舞伎役者や力士、浮世絵師、作家・滝沢馬琴などの好物菓子を聞き出す前三作に続き、今作は「ぴんぴんころり」を祈る寺の連続不審死事件を追います。

皮肉屋の馬琴、与力の次男なのに絵師として生きる山本真次郎、吉の長屋の隣人との付き合いが生きいきと書き分けられ、伏線も無理なく綴られます。

和菓子のうんちくを絡め、自分で考え、新企画や冒険に飛びこんでいく女性の痛快成長物語です。

祥伝社文庫
2020年11月
文庫版335ページ
792円(税込)