現代の物語の書き手である著者の、名作児童文学作品にまつわるエッセイを集めた本です。

そのひとつ「『秘密の花園』ノート」では、主人公のメアリが秘密の庭を見つけて世話をすることで生きる力を取り戻していく、その過程で描き出される情景や主人公たちの変化の意味が解き明かされています。物語の細部に秘められている〝世界〟そのものの豊かさに目が開かれる思いがします。

読書は、時代を越える物語とそれぞれの読み手との協働作業です。だれもが自分の〝物語〟の主人公でもあります。この本をひとつの道しるべに、自分の〝秘密の庭〟を探してみませんか？

岩波書店
2021年３月発行
四六版164ページ
価格：1,540円（税込）