〔83〕鉄道のある風景にこだわり 地域の景色を残したい
2021年10月号 Vol.575
鉄道のある風景にこだわり 地域の景色を残したい
京都・宮津市職 上田(うえだ) 忠志(ただし)さん
▲撮影中の上田さん
毎週訪れる絶景スポット
京都府北部を流れる由良川の河口近くに架けられている由良川橋梁は大正時代に建設されました。水面から3㍍ほどの高さを列車が走り、北側は日本海を望む絶景ポイントです。
「こんな鉄橋は二度と作れないでしょうね」。機材をセットしながら橋を渡る列車を待つ上田忠志さんは、この場所にほぼ毎週訪れ、撮影しています。川と海、空の青さ、夕日が日本海に沈んでいくなかを走っていく列車を撮り続けています。「季節やその日の天候で毎回違った風景を見ることができて楽しいです。列車を待つ間のホッとした時間もいいですね」と話す上田さんの顔から笑みが浮かびます。
取材中も何人もの鉄道ファンが来てカメラを構えていました。「ここはとても有名な撮影ポイントで、他府県からもたくさんやってきますよ」と上田さん。仲間どうしの交流が広がって、今では毎年喫茶店のギャラリーを借りて、知り合った仲間と一緒に写真展を開催するほどです。
1台のカメラが始まり
上田さんが写真を撮るようになったのは、学生時代に1台のカメラを手に入れたことから。「高級なカメラではなかったのですが、街の様子やお祭り、人物など被写体はさまざまです。なんでも撮って楽しかった。機材も増えていきましたね」と振り返ります。「撮るものや撮り方が決まると、おのずとカメラの機種や機材が定まってきます」と上田さん。「鉄道車両の詳細にこだわっているわけではないです。景色のなかを色や形がさまざまな列車が通過するのがキレイだなあと思っているだけです」。鉄道のある風景にこだわる上田さんのスタイルです。
市役所の職員としての思い
市役所に技師として就職した上田さんは、道路補修や災害復旧の仕事に携わってきました。今も市内各所の現場に足を運んでいます。「仕事の関係で街や田舎の風景が変わっていくのを見てきましたから、地域の風景ばかりを撮るようになったのかもしれません」と写真への思いも話してくれました。
街の移り変わりを知り、その景色を撮る時間を楽しみ、仲間どうしの交流を広げる…。上田さんのちょっとカッコイイかがやきDAYSです。
▲上田さんにお借りした写真。由良川橋梁を渡る京都丹後鉄道宮舞線。
▲写真展の様子。コロナの影響でここ2年は開催できなくて残念