「憲法守れ」の声、職場と地域で
改憲をめぐる情勢と自治労連への期待(自治労連憲法学習会より)
▲日本体育大学 清水 雅彦 教授(憲法学)
自治労連は、3月3日、日本体育大学の清水雅彦教授を招き、オンライン学習会を開催。ウクライナ情勢で、日本国内でも改憲や軍備増強をねらう動きがあるなか、改憲をめぐる問題点や世論の動向、日本国憲法の平和主義の意義と、社会保障の充実など憲法をいかした政治のあり方について学びました。
コロナ危機は政治の責任 改憲の理由にするな
コロナ対応などを口実に緊急事態条項を加える改憲論議がある。自民党は2011年の東日本大震災を受けて、12年に緊急事態条項を加えた改憲草案をつくったが、大変危うい。緊急事態を発動すれば、法律と同等の政令を内閣が出せる。これは「国権の最高機関」である国会の軽視であり、対等である国と自治体の関係にも影響する。コロナ対応が十分にできなかったのは、憲法25条(生存権)がありながら、新自由主義改革で、保健所や職員などを減らしてきた政治の責任だ。
自治労連のみなさんには、現場の声を広く伝え、職場を変えていくとりくみを引き続きがんばっていただきたい。
戦争の反省に立つ憲法9条は最先端
憲法9条(戦争放棄)は、1項で自衛権までは放棄していないが、2項で戦力を保持しないと明言している。いわゆる「戦力なき自衛権」として、警察力と外交、市民的不服従で対応するとみるのが学会の多数説だ(下図を参照)。
国際的にも戦争を繰り返した反省から、戦争や細菌兵器使用などにさまざまな制限をかけてきた。この流れをみれば、軍隊(戦力)の制限も必然であり、日本の憲法9条の理念は最先端である。
しかし、自民党改憲草案では、「自衛隊の明記」を口実に現行2項を無力化するねらいと、海外派遣および「集団的自衛権」の拡大となる危険性がある。
市民と野党、労組の共闘で改憲させない
ほかにも教育の無償化などを改憲の理由にしているが、現行法の下で教育の無償化はできる。政府が本気でやるかどうかの問題だ。
7月には参議院選挙があり、終われば当面国政選挙はない。改憲を発議させないためには、立憲主義を取り戻す「市民と野党の共闘」を大きく発展させることが重要だ。そのためにも「労組の共闘」がさらに大きくなる必要がある。職場や地域で大いに憲法について学び、語り合っていただきたい。そして、憲法で保障された「団結権」を行使し、労働組合の仲間を増やし、労働者の声と力を大きくしていくことを期待する。