ナゼ?ナニ?自治体DX [6] 個人情報を吸い上げるスーパーシティ構想
自治体DX計画は、政府がすすめる「スーパーシティ構想」の重点のひとつです。内閣府国家戦略特区は、スーパーシティを「AIやビッグデータを活用し、社会のあり方を根本から変える未来都市」としていますが、個人情報の取り扱いなど大きな問題があります。
2020年に成立したスーパーシティ法において、住民個人の商品購入履歴や医療、金融、行政情報など、生活全般にわたる膨大な個人情報を、国や自治体からの委託を受けた事業主体(民間企業)が収集して営利目的に利用・活用できるとされています。
スーパーシティの名のもとに、個人情報が民間企業に吸い上げられる「特区」が設けられようとしています。そして、政府が強行にすすめているマイナンバーカードで個人情報をヒモ付けされれば、本人の趣味嗜好や思想信条、健康状態や行動パターンまで収集・分析されかねません。
憲法13条では基本的人権が保障されており、国民のプライバシー権はだれであっても侵害させてはいけません。しかし、個人情報保護条例による保護規制が国によって撤廃・緩和されようとしています。本人の知らないうちに個人情報が集約され、国による国民監視や民間企業の営利のために利用されることがないよう、住民の情報を守る立場から反対の声をあげることが重要になります。
実際に、日本政府がスーパーシティのモデルとしてきたカナダのトロント市では、監視社会を懸念した住民の反対により、グーグル社が撤退しました。
住民運動でスマートシティを撤退させたカナダ・トロント市
〇トロント市のスマートシティ計画
住民のスマートフォンを追跡し、買い物や移動の履歴まで、膨大なデータを収集する
〇データ収集を拒否できない計画に疑問と不安の声
住民が草の根グループを立ち上げて、市に詳細な説明を求める運動を開始
〇市が選定した業者が撤退
住民のデータ収集が計画通りに実行できなければ企業の収益につながらないと撤退
⇒トロント市が2年以上にわたって投じた資金が無駄に