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各地の経験いかして自治研活動広げよう

第16回 地方自治研究全国集会inハイブリッド東京 2日目の分科会から

▲憲法と平和について語り合った第9分科会

先月号に引き続き、10月1~2日に行われた第16回地方自治研究全国集会の2日目分科会の様子と参加者の感想を紹介します。今回学んだことを糧に、次回の全国集会に向けて各職場と地域で地方自治研究活動をすすめていきましょう。

一人ひとりが人間らしくその役割を担うのは憲法

第9分科会 軍事力で平和は実現できるの?―憲法9条から考える「平和の仕組み」

第9分科会は26人が参加し、助言者の太田伊早子弁護士(横浜法律事務所)の講演「憲法から考える平和」と2本の要請レポートを受けて討論しました。

太田弁護士は「個人の尊厳を大事にする国は国民に戦争をさせない。相手のいのちも奪わない」「人権を保障し平和を志向する国民をつくることが大切」と強調し、自己責任社会を変え、社会権保障のためには憲法を守りいかすことがカギであると話しました。

参加者から「情報操作することも人権侵害だとわかった。日本社会が情報操作で〝軍事力を増やすべき〟という状況にある。それを伝えていかなければ」など戦争する国づくりへの危機感を訴える感想がありました。

討論では、ロシアへの抗議行動や「国葬」反対の声が広まり自治体での弔意を強要させなかった運動の報告、また「武力が必要」という意識の変化や国連の機能に対する疑問、組合の憲法問題のとりくみへの抵抗にどう答えるかなどの率直な疑問も出し合い深めました。

最後に太田弁護士は、格差社会で尊厳のある生活ができていない現状から、一人ひとりが人間らしい生活ができるような保障が必要になり、そのなかで役割を担うのは憲法であると述べました。そして「生活のなかで一番情報が集まってくるのが自治体。自治体が住民生活のなかの声を可視化することが、人権と尊厳が保障される社会・平和をつくる」と結びました。

PFI・デジタル化は民間の利益が目的

第10分科会 『デジタル化、産業化』は自治体に何をもたらすのか

第10分科会では、助言者に龍谷大学の本多滝夫教授と、さまざまな現場でPFIに関わる問題で相談を受けてきた尾林芳匡弁護士をむかえて、「『デジタル化、産業化』は自治体に何をもたらすのか」について参加者で各地の現状を共有し考えました。

日本国内では、PFI方式をすすめる法改正で、公務公共サービスの産業化、非正規化や経費増による財政圧迫がおこっています。一方、海外で再公営化がすすんでいるなど現状と問題提起がされました。

各地の現状について、大阪・吹田市での市民課業務委託を住民ととともに断念させた事例を紹介。労働組合として委託化の問題を明らかにし、住民に伝え、弁護士や研究者の協力も得ながら大きく団結してきた経験が報告されました。

また、東京・足立区では税務システムの標準化が不自由で、住民への不利益や費用増、負担増の可能性があること、北九州市ですすめられている市役所DXの進捗状況などが報告されました。

分科会では助言者や報告者から「PFIは、自治体の持つ不動産の民間活用であり、デジタル化は自治体が持つ情報の民間活用がねらい」「デジタル化やオンライン化によって窓口業務の縮小化や無人化がねらわれている。民間委託と同じ危険性をはらんでいる」との指摘がありました。今後も住民福祉増進のため共同の力でとりくむことを確認し合いました。

▲デジタル化などで自治体がどうなっているか共有した第10分科会

参加者の声

■記念講演
(ジャーナリスト相澤冬樹さん)

・記者としての経験からの話の内容がリアルで非常に示唆に富むものだった。
・森友問題を中心に労働組合の必要性まで話が聞けた。「全体の奉仕者」であり続けるためにどうしたらいいか聞けて良かった。
・「全体の奉仕者」であり続けるためには、公務員倫理にもとづいた行動が基本となると改めて感じた。権力の横暴は決して許されることではない。

■基調フォーラム
・現在の社会情勢、コロナ禍の実態、憲法、異常気象について幅広い内容がわかりやすく討論されていて勉強になった。
・各分野の実態報告からコロナ禍が多大な被害を生み出している様子がわかった。コメンテーターの補足や導き方も良かった。

■分科会
・「デジタル化」についてはメリットのみが強調されている感がある。メリットとデメリットを組合員、市民に広く伝え、組合員と市民にプラスになるような仕組みをつくることが大切だと感じた(第10分科会)。

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