シリーズ59 いちから学ぶ仕事と権利[労働基準法33条]
「災害」「公務」「臨時」でも健康害する長時間労働許すな [労働基準法33条]
労働基準法33条第1項「災害のため」と第3項「公務のための臨時の必要」についてあらためて学び、公務職場から長時間労働をなくしていきましょう。
「災害」「臨時」は厳格な適用が求められる
まず、地方公務員にも労働基準法(労基法)は原則適用され、労基法第32条で「週40時間以上」の労働を原則禁止としています。時間外労働をさせるには、同第36条にある協定、いわゆる「36協定」が必要となり、民間の労働者と一部現業などの公務員(表参照)は、民間と同様に原則的な労働時間規制がなされていることになります。
例外として同33条1項は「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、(中略)上記の労働時間を超えて働かせることができる」としており、公務にしろ民間にしろ災害などからのインフラ復旧作業等の極めて緊急性の高い業務に限って、一時的に長時間働かせることが可能となっています。しかし、第1項について国は、「災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定であるから厳格に運用すべき」とし、単なる業務の繁忙や通常予見される事例については適用を認めていません。ところが、コロナ関連業務は「人命・公益を保護するため」として、3年近くに及ぶ長時間労働が合法化されています。
本当に「臨時の必要」か抜本的な見直しを
もうひとつ、33条3項は「公務のために臨時の必要がある場合においては、(中略)労働時間を延長し、(中略)休日に労働させることができる」としており、本庁など一般官公署に青天井の長時間労働をさせる根拠となっています。この「公務のための臨時の必要」は1948年の労働省通知によって「使用者たる当該行政官庁に委ねられており、広く公務のための臨時の必要を含む」とされ、事実上、時間外労働の規制は実効性を持っていません。抜本的な人員増などの対策を打たず、コロナ対応を「災害・臨時」とし長時間労働を青天井でさせることは、使用者の「安全配慮義務」を果たしていません。「安全配慮義務」の観点からも当局責任を追及することが重要です。今年5月に自治労連が行ったヒアリングで厚生労働省は、「地方公共団体であっても職員に対する安全配慮義務を負い、健康を害する働き方はあってはならない」と見解を示しています。
何より公務でも労働時間の上限規制など抜本的な法改正を含めた見直しと実効性ある長時間労働規制、公務公共体制の拡充が求められています。