「戦争する国家」への大転換許されない
▲「安保3文書」に対して、国会前で抗議する自治労連(1月19日)
岸田内閣は、昨年12月16日、「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の安全保障3文書(以下、安保3文書)を閣議決定しました。敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を認める安保3文書は、戦後日本の平和主義を投げ捨て、「戦争する国家」への大転換、改憲への道を開く極めて重大な問題です。
明文改憲への道開く 憲法9条の空文化
歴代政権は、敵基地攻撃(反撃能力)について、「憲法の趣旨と反する」との立場を一貫してとってきました。しかし、岸田政権は、国会審議もせず、敵基地攻撃能力の保有を閣議決定し、これまでの憲法解釈すら覆しました。2015年9月の集団的自衛権を認める安保法制の強行採決に続き、憲法9条を空文化する動きを強めています。
今後、「安保3文書」にもとづき、自衛隊がアメリカ軍とともに他国の軍事衝突に参入し、「より攻撃的な軍隊」へと変貌するなかで、明文改憲への道を大きく開こうとしています。
増税、社会保障切り捨て 世界第3位の軍事大国へ
「防衛力整備計画」では、2027年度までの5年間における防衛力整備の水準を43兆円とし、GDP比2%に達するよう措置を講ずるとしています。GDP比2%以上となれば、日本はアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国になります。そのほかアメリカからの購入を決めている装備品購入ローン16・5兆円を含めると、60兆円にも膨れ上がります。
政府・自民党による大軍拡の財源は、復興特別所得税や医療関係の積立金やコロナ対策費の未使用分の流用、国債の発行など、コロナ危機で苦しむ国民生活をさらに圧迫する内容が検討されています。大増税とくらしの予算削減を国民と自治体に押し付け、経済を破壊するものです。
地方自治を侵害、戦争に協力させられる労働者
「安保3文書」は、国民や地方公共団体、企業などへ協力を求め、既存の空港や港湾の使用など、地方自治を侵害する内容まで盛り込まれています。自治体労働者は国民保護法や土地利用規制法などによる住民監視の役割だけでなく、「戦争する国家づくり」の一翼を担うこととなります。
すでに台湾有事を想定し、南西諸島へ陸上自衛隊のミサイル部隊配備などを日米共同ですすめています。
また、横浜市でも米軍輸送拠点への小型揚陸艇部隊の配備計画など軍事的緊張を高めており、かえって日本を危険にさらします。今、日本がとりくむべきは大軍拡ではなく、憲法をいかした平和外交と国民生活の立て直しです。