シリーズ65 いちから学ぶ仕事と権利[地域手当]
地域手当による地域間格差を解消し人員流失・人員不足に歯止めを [地域手当]
地域手当は、支給割合によって自治体間の賃金格差を広げ、手当支給割合の低い地域やゼロパーセントの地域では、人員を募集しても集まらない、流出するなど大きな問題となっています。
2005年の人事院勧告で、基本給を民間賃金が最も低い地域に合わせ、民間賃金が高いとされる地域に対しては地域手当が支給されるようになりました。そのため、大都市や大企業が立地する自治体に高い割合の地域手当が設定されてきました。同じ役職で同じ仕事をしていても、 職場の場所によって最大 20パーセントもの賃金格差が設けられ、ゼロパーセント地域は1447市町村と大多数を占めています(図参照)。
民間でも都道府県ごとの最低賃金の格差が、労働者流出の大きな原因になっていますが、公務員の地域手当はさらに市町村レベルで格差を広げています。各自治体の人員不足によって、公共サービスの質の低下が現実問題となり、職員の長時間労働の原因ともなっています。全国市長会などでも、地域手当による格差が問題視されています。なお、地域手当は人事院規則に10年ごとの見直しが定められており、2024年に見直しの予定となっています。
地域間格差を解消し、すべての公務労働者の大幅賃上げを
自治労連は、そもそも引き下げられてきた公務員賃金を全国的に引き上げるとともに、地域間格差を解消するなどの抜本的改善を求めています。
岸田首相は第 211 回通常国会の施政方針演説で「物価上昇を超える賃上げが必要」と強調し、「公的セクターや、政府調達に参加する企業で働く方の賃金を引き上げます」とも明言しました。当然、ここには国家公務員や地方公務員も含まれるべきです。公務労働者の賃上げは、900万人以上の労働者に影響し、地域経済にも広く波及します。
各自治体でも、人員確保のためにも地域間格差をなくし、生計費にもとづく賃金引き上げを行うよう交渉が重要です。首長や議会への働きかけも同時にすすめましょう。
また、国家公務員の労働組合(国公労連)などの公務労組の仲間、民間労組の仲間も一体となって、地域手当の見直しも含めた署名(人勧署名)にとりくんでいます。みなさんの職場でも署名にとりくんでいきましょう。