#これが言いたい [国の指示権]
地方自治法の一部を改正し、自治体に対する国の指示権などを拡大する特例を加える法律案が今国会に提出されました。
法案では、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の発生(または発生するおそれ)」を理由とすれば、国は自治体に指示できるとしています。「指示権の拡大」は、国と自治体のこれまでの対等な関係を上下従属関係へと変質させるものです。
理由に挙げられている大規模の自然災害であれば、すでに災害対策基本法に国と自治体の役割は定められており、適宜改正もされています。また、新型コロナなどの感染症対策についても、感染症予防法があります。
政府は大災害やコロナでの混乱の原因を「指示権がなかったから」としていますが、新型コロナの際の「いっせい休校」を例にみれば、国が独断専行するからこそかえって現場が混乱しています。あくまで「主体は自治体、バックアップは国」と対等に協力し合うことが重要です。いま必要なことは、指示権ではなく、災害などに対応できる体制が確保できるよう自治体への援助や権限を付与することです。
さらに「閣議決定」だけで自治体の「自治事務」にまで「指示できる」法律を認めることは、憲法92条「地方自治の本旨」との関係でも大きな問題があります。住民の命と生活、平和を守るためには、国と自治体が対等な関係で協力し、憲法にもとづいて政治を行うことです。地方自治法の改正に対して、「待った」の声を職場と地域で上げていきましょう。