第87録 防災知識を楽しく学び、災害に活かそう
2024年3月号 Vol.604
防災における自治体の役割を考える機会に
防災知識を楽しく学び、災害に活かそう
大阪市・「津波・高潮ステーション」
▲アーチ型水門
1995年の阪神・淡路大震災による甚大な災害の経験から府民の防災意識が高まり、大阪府の防災発信として、2009年に「津波・高潮ステーション」がオープンしました。
「海より低い大阪」って?
海抜0メートル地帯である「海より低い大阪」をわかりやすく解説し、「起・承・転・結」の各コーナーで地震発生メカニズムや過去の被害状況などが学べます。「津波体験シアター」では、音と映像を駆使して臨場感あふれる津波の脅威を体験できます。
大阪府西大阪治水事務所に併設されており、府職員が施設案内や防災講座で講師を担うこともあります。
小・中学生対象の防災教育をはじめ、年間30万人が来場しているそうです。
安政大津波の教訓に学んで
大阪ドーム近くにある大正橋のたもとには「安政大津波の碑」が建てられています。これは1854(嘉永7)年11月に発生した安政南海地震の被害を伝えたもの。この碑には「地震が発生したら津波が起こると十分に心得ておき、船での避難は絶対いけない」「心ある人は碑文が読みやすくなるよう時々墨を入れ、伝えてほしい」と刻まれ、後世に語り継がれています。
渡し船から身近に大水門
大阪市には、日本で唯一「アーチ型水門」などの防潮施設があり、台風や高潮の災害から住民を守っています。
水門は大阪市が無料で市民を乗せる「渡し船」の活躍により、壮大な全景を間近で見ることができます。
今後、南海トラフ地震が発生すれば「大阪湾に津波到達まで1時間以内の可能性が高い」と指摘されていますが、今のアーチ型水門は築造54年で老朽化がすすんでいるため、新しいゲート型水門の更新工事が始まっています。
繰り返す大災害への備えと同時に「防災予算が効果的に使われているかどうか」など、防災における自治体の役割を考える機会になればいいですね。
▲大正橋のたもとに建立された「安政大津波の碑」
▲津波・高潮ステーション入口