第93録 時代を紡ぐ文学と生活の足跡
2025年4月号 Vol.617
盛岡に残る歴史の一角 石川啄木新婚の家
時代を紡ぐ文学と生活の足跡
岩手県盛岡市
▲石川啄木と家族が暮らした旧家
岩手県庁や市役所が立ち並ぶ盛岡市中央通り沿いにある古びた一軒家。詩人・石川啄木が、1905年6月に3週間ほど暮らした「啄木新婚の家」です。この建物は、盛岡で唯一現存する武家屋敷で、盛岡市指定有形文化財に指定されています。当時の姿がほぼそのままで保存され、現在では一般公開されています。
1905年、東京で初詩集『あこがれ』を出版した啄木(当時19歳)は、5月下旬に盛岡で結婚式をあげる予定で帰郷の途につきました。金策のため仙台で下車し、郷友たちを訪ねて10日間交流滞在しました。その間の5月30日、婚約者の堀合節子は啄木の帰宅を待ちながら、結婚式を控えていました。
花婿不在で迎えた結婚式
しかし啄木は姿を見せず、友人らとともに「花婿のいない結婚式」がこの家で行われました。啄木は岩手に到着後、盛岡を通り過ぎて故郷の渋民村に向かいます。この家に初めて姿を現したのは、結婚式から5日後の6月4日のことでした。
その後、新婚夫婦と両親、妹のミツの5人で暮らし始めました。そして同月25日には、すぐ近くの中津川のほとりに引っ越しています。随筆『我が四畳半』には、わずか3週間でしたが、この家での暮らしぶりが綴られています。ぜひご覧ください。
盛岡の風情をたどる周辺の魅力
春には、近くの「岩手山神社遥拝所」で枝垂桜が咲き誇り、昔を思い起こさせるのどかな一角です。盛岡を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。観光タクシーのコースにも含まれていますので、利用がおすすめです。
近くには岩手自治労連もありますので、お時間があればぜひお立ち寄りください。
開館時間4月~11月9時~17時(休館火曜日)/12月~3月10時~16時(休館火・水・木曜日、年末年始)入場無料
▲花婿不在で行われた結婚式の舞台(「岩手県公式観光サイト いわての旅」より)
▲南部利直公建立の歴史ある岩手山神社遥拝所