【シリーズ143】サーフィンで地域を元気にしたい
2012年7月号 Vol.464
千葉・南房総市職 伊藤 健一(いとう けんいち)さん
サーフィンで地域を元気にしたい
「すべてが整い自然と一体となった時、時間が止まるんです」。窓から見える海を眺めながら穏やかに語る伊藤健一さんは、南房総市職員であり、日本最高のサーファーが集まる日本プロサーフィン連盟公認のプロサーファーでもあります。
高校からサーフィンを始めて、アマチュア大会での入賞を重ね、プロトライアルで技術が認められ2000年にプロ資格を取得。ゆったりしたリズムが自分に合っているというロングボード乗りとして千倉をホームに活躍しています。
サーフィンは、自然の力を利用したスポーツです。風、地形、潮の満ち引きなどの条件が整わなければ、「パーフェクトな波」は出現しません。そして年に何回もないというその波を「メイク」できる(乗りこなせる)技術が備わった時、「自然が作り出す波のリズムと一体となり、波に自分のラインを描く」という、奇跡のような瞬間が訪れるのです。しかし、なかなかその時が来ないのも魅力のひとつ。「いつ来るか、来ないかもしれない波をイメージして修行し続けることも楽しい」と言います。
「慌ただしい日々から解放されて、一瞬も留まらない波に包みこまれ無心で遊ぶ時、自然の偉大さ、生きている素晴らしさを感じる」というサーフィン。
近年、この魅力に惹きつけられた人たちが、千倉の海岸に集まるようになってきました。年齢も仕事もさまざまな人が訪れ話をし、一緒にサーフィンを楽しむという「刺激的でおもしろい」憩いの場になっているそうです。長年サーフィンをしており、「役所の人」でもある伊藤さんは、この立場を活かし地域経済のために貢献したいと考えています。2010年、千倉の海岸で行われた「プロサーファーが提案する海あそび」では、地元プロサーファーとして運営に関わり、子どもたちに海あそびの楽しさを伝えながら、海の危険性や環境教育活動を行いました。
現在は仕事と子育て、地域活動で自分の時間を持つことが難しく、休日の朝に少し出る程度と言いますが、6歳になる息子の太陽君といつか一緒にサーフィンする日が楽しみと微笑みます。危うく伊藤さんの魅力にはまってしまうところでした。
▲波が崩れる瞬間、波にボードを当て込み、波の力を利用してターンする技「ローラーコースター」を決める伊藤さん
▲息子の太陽君(左)と伊藤さん