第130景 世界遺産の美しい街並み ロシア革命の歴史をたどる
2011年3月号 Vol.448
バルト三国・ロシア 京都・京丹波町職 細野江梨子さん
世界遺産の美しい街並み ロシア革命の歴史をたどる
8日で4カ国を一挙にまわれるというおトクな文句につられ、謎の国バルト三国とロシア8日間の旅に参加しました。まずはヘルシンキ経由でリトアニア、ラトビア、エストニアをめぐり、最後にロシアの旧首都・サンクトペテルブルグを訪れました。 東欧というと旧社会主義国というイメージが強いですが、町並みや食べ物、人の様子などは西欧とほぼ変わらず、石畳と古い教会の佇む深い歴史を感じさせる美しく落ち着いた街々でした。首都がすべて世界遺産に登録されているというのも納得。バルト三国間は国境をバスで素通りし、パスポートチェックも荷物検査もなしのあっけなさ。各国の入国スタンプを楽しみにしていた私には少し残念でした。国境の町エルベから2時間がかりでロシア入国の手続きをし、いよいよ今回のハイライト、サンクトペテルブルグ市内へ。 ここは旧名レニングラードといい、第二次世界大戦でドイツとの激戦が行われた場所でもあります。町には戦争記念碑や資料館、英雄の銅像などが見られます。帝政ロシア時代の遺産であるピョートル大帝夏の宮殿、エルミタージュ美術館などを見学後、市内を流れるネヴァ川に浮かんでいる1隻の古めかしい軍艦へ案内していただきました。なんと百年以上前に日露戦争から還ってきたバルチック艦隊3隻のうち唯一現存する「オーロラ号」とのこと。現在は歴史記念館として大切に保存されています。 また、日露戦争から帰還後の1917年10月25日夜、ここから発せられた一発の砲撃を合図に、ボリシェヴィキ革命軍が冬宮への突入を開始し、ほぼ無血で十月革命を成功させたという過去も持つ、ロシア革命の象徴でもあります。 今回は4カ国とも、言葉も通貨も物価も違うため、お店では値段の換算ばかりに頭を使い難儀しましたが、どの国も自分の民族・文化を誇りにしているのを感じました。ちなみにロシアを去る時に、ロシア人現地ガイドさんに尋ねた「ロシアで一番有名な日本人は?」の答えは、意外にも「村上春樹」でした。
▲ロシア皇帝アレクサンドル2世の暗殺場所に、息子が慰霊のために建立した「血の上の教会
▲サンクトペテルブルグ市内の戦争記念館周囲にある「ドイツ兵と戦うロシア兵士たちの像」