第124館 「在日」とともに考えるアジアとの共生
2012年7月号 Vol.464
東京都新宿区 高麗(こうらい)博物館
「在日」とともに考えるアジアとの共生
韓流ブームで連日大賑わいなのが新宿・新大久保界隈です。このど真ん中に高麗博物館がオープンしたのは10年前です。日本でただ一つのこの小さな博物館は「市民がつくる日本・コリア交流の歴史館」として日韓友好と相互理解を進めるために多くの市民の協力により開設され、ボランティアによって支えられています。 一昨年の企画展は「韓国併合」100年を迎え、植民地時代の問題について「前編」として展示しました。今年の「後編」は、「『韓国併合』100年と在日韓国・朝鮮人―在日と戦後社会―」をテーマに、戦後日本社会での在日韓国・朝鮮人が直面してきたさまざまな現実と課題を展示しています。戦後67年、植民地支配から解放された戦後を「在日」が「どのように生きたのか」「何をめざしたのか」「何が変わったのか」と問いかけ、現在の日本社会のなかでどのような状況にあるのかを明らかにし、ともに考えていきたいと呼びかけています。 「在日」に対する差別の長い歴史には心が痛みます。3・11の震災でも仙台の東北朝鮮初中級学校には給水車などの行政支援が来ませんでした。しかし、全国の仲間からの救援物資で炊き出しを行い、公立学校に差し入れをしたと聞くと、本当に情けない思いです。この企画展後編は8月26日まで開催しています。 常設展は、日本と朝鮮の歴史を古代までにさかのぼって展示、交流の歴史を見つめ直すことで、朝鮮やアジア全体との共存の道を探ることを目的にしています。パネル展示のほか、朝鮮通信使の模型人形などが展示され、色鮮やかなチマ・チョゴリは試着もできます。 博物館の近所には、韓国料理店をはじめ、メイド・イン・コリアの食品やコスメなどを扱うスーパー・小売店が所狭しと並んでおり、インターナショナルな雰囲気は見るだけでも楽しめます。
▲色鮮やかなチマ・チョゴリ、試着して記念写真をどうぞ
▲「解放から分断へ」で始まるパネルや「歴史教科書」などを展示する企画展
ミュージアムメモ
所在地/ |
〒169-0072 東京都新宿区大久保1-12-1第2韓国ビル7階 |
交通/ |
JR新宿駅・新大久保駅、西武新宿線新宿駅 |
開館時間/ |
正午〜午後5時 |
休館日/ |
月・火曜日、年末年始 |
入館料/ |
企画展、大人400円、中・高生200円 |
問い合わせ/ |
03-5272-3510 |