第138館 人々の心に生き続ける童謡のメロディー
2013年11月号 Vol.480
静岡県熱海市 中山晋平記念館
人々の心に生き続ける童謡のメロディー
大正初期から大衆音楽の普及に大きな足跡を残した作曲家・中山晋平。『シャボン玉』『証城寺の狸囃子』『兎のダンス』など、多くの人が口ずさんだことでしょう。
この記念館は、1935(昭和10)年に中山晋平の別荘として建設されました。第2次世界大戦が激しくなったことを契機に、中山晋平は東京都中野区から熱海に居を移し、1952(昭和27)年に65歳で亡くなるまで居住しました。中山晋平が専属で作曲をしていた日本ビクター株式会社が居宅を一般公開していましたが、平成3年に熱海市が寄贈を受け、熱海梅園内に移築されました。
記念館は、中山晋平が居住していた当時そのままの姿で、遺品とともに保存されています。梅林の敷地内という、日本庭園の静かなたたずまいのなかに2階建ての木造建築がとけあい、とても落ち着いた雰囲気です。
履物を脱いで上がると、1階は展示室。中山晋平が愛用したピアノや蓄音機、レコード、楽譜、写真や年譜などがあります。なかには「お手伝いさんを呼ぶ時に使用した釣り鐘」などという物も。2階は中山晋平の生涯をビデオで紹介し、鑑賞しながら畳の上でゆっくり休憩ができます。
見どころは、2階に上る階段や手すりに使用されている木材に多くの「節」があること。また1階と2階の廊下にある欄間の形状が、五線譜にちなんで5本の竹格子を使用していることです。中山晋平が、そのような木材で建築するように依頼したそうです。音楽へのこだわりが住む家にも現れています。
館内には中山晋平の作曲した唱歌が流れ、子どもの頃から幾度も聴き、歌った歌を懐かしく思い出させてくれるとともに、廊下から見える庭園が美しく、癒されます。また、毎年1月から開催される「熱海梅園梅まつり」の期間中は無休で開館しています。梅が咲く季節に来館し、梅園を散策しながらお帰りになることをおすすめします。
▲木造建築が落ち着いた雰囲気を作り出す中山晋平記念館
▲1階に展示されたレコードや友人からの寄せ書きなど
ミュージアムメモ
所在地/ |
熱海市梅園町8-1(梅園敷地内) |
電話/ |
0557-85-1933 |
交通/ |
JR熱海駅から車で8分、JR来宮駅から徒歩10分 |
入館料/ |
無料 |
開館時間/ |
午前10時~午後3時30分 |
休館日/ |
毎週木曜日(年末休館あり)梅まつり期間中は無休 |