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被災者の生活再建に国は実態を直視し対応を-災害対策全国交流集会inみやぎ

image003 11月20日~21日の二日間、災害対策全国交流集会が宮城県松島町で開催され、全国から200人、自治労連からは本部をはじめ、岩手、福島、茨城から参加しました。全国から被災地の復旧復興の活動や政府・自治体に被災者支援を求める取り組み、地域でどのように減災・防災をすすめていくかなど交流しました。

 今回は、東日本大震災の被災地をはじめ、昨年、土石流災害の被害に遭った広島、鬼怒川決壊で水害にあったばかりの茨城県常総地域から参加がありました。

 記念講演は「復興と減災の課題-復興災害を絶つために」と題して、立命館大学の塩崎賢明教授。東日本大震災復興課題を踏まえ、東日本大震災に何が活かされ、何が活かされていないか、とくに仮設住宅についての問題点を明らかにしました。

 塩崎先生は、「阪神淡路大震災で使われた仮設住宅が東日本大震災でも使われたが、寒さや雪など、考慮すべき視点が欠落しており、仮設住宅が永住住宅になっている。仮設住宅は半年程度の短期の住宅であり、長期に住むことを想定していない。被災者の生活権、人権を考えていない」と厳しく指摘しました。さらに「住宅復興の総合的なシステムを構築していく必要がある」とし、仮設から恒久住宅確保にいたる被災者に寄り添った形での「総合的なプログラムを作るべきであり、応急仮設住宅、みなし仮設住宅、自力仮設住宅はそれぞれ単線型、混線型でなく、わかりやすい複線型にしていくこと、被災者には自立するまでの見通しを示し、どういうコースがあるのかを丁寧に説明することが求められている」と話しました。

「生活再建支援金はせめて500万円(現行300万円)」は切実な要求

 被災5県からの報告は、岩手、宮城、福島、広島そして茨城がおこないました。岩手からは、「被災者の6割が応急仮設住宅での生活を強いられている、被災から5年を迎えるが恒久的な住宅を」と訴えました。福島からは、毎日300tの汚染水が流れていることを報告。また、県の「原子力損害対策協議会」に県労連も参加していることから、「できる限り住民団体も共感、励ますような発言を心がけている」と報告。広島からは、「広島市の砂防堤の改修作業の見通しについて、自治体は333年かかるといい、その後予算を増やしたというが、それでも200年かかる。危険区域がいたるところにある。宅地開発をすすめてきた問題は深刻」と報告しました。

 今年9月、鬼怒川が決壊し、市内が広範囲に水没した常総市で、水害からすぐに吉野サポートセンターを立ち上げてボランティア活動と、被災者支援に取り組んできた。被災者生活再建支援法では半壊認定には補助金が出ないが運動を通じて、わずかだが25万円支援(県と自治体で負担)させることが出来たと報告したときには、参加者から大きな拍手が起こる場面もありました。どの報告も共通して、「生活再建支援金は現行の300万円では余りに少ない。せめて500万円に」と、政府に増額の要求を進めていこうとの発言が相次ぎました。

 初日の集会後半と、二日目は「被災者のいのちとくらしを守る」「生業を守る地域の産業と経済の再生をめざす」「災害からの復興と市民運動」「被災地の原発・放射能問題」の4テーマに分科会をおこない、活動交流をおこないました。