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~辺野古訴訟福岡高裁判決を問う~ 辺野古訴訟福岡高裁判決報告・研究集会に345人が参加

 10月7日(金)、明治大学リバティホール(千代田区)で、「辺野古訴訟福岡高裁判決を問う―辺野古訴訟福岡高裁判決報告・研究集会」が開催され、345人が参加しました。
このシンポジウムは、辺野古基金を基に、裁判を支援するために結成された行政法学者で構成される「辺野古訴訟支援研究会」が主催しました。同研究会は自治労連・地方自治問題研究機構の研究者が中心を担っています。  
 はじめに主催者を代表して名古屋大学の紙野健二教授が「これまで全国の13名の研究者が集まり、辺野古の問題について協議や様々な活動を行ってきた。今日の集会は、福岡高裁の判決がどのようなものであったのか、しっかりと学ぶ機会にしていきたい」とあいさつしました。続いて、今集会に沖縄県より駆けつけた、沖縄県の翁長知事からあいさつがありました。

米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因
 翁長知事は、「那覇市長時代を含め、これまで多くの方々と対話、懇談を行ってきたが、いまだに、『沖縄は米軍基地で食べている』というimage003風説がまん延している。終戦直後、基地関連収入のGDPは50%あったが、27年後の1972年には15%、今では4.9%。米軍基地の跡地利用についても、那覇市の新都心は大型ショッピングセンターや総合運動公園などができ、25年前まで52億円の軍用地料であったが、返還後は1600億円の経済効果がうまれた。雇用についても基地時代は芝刈りや、家の修繕などで180人程度だったが、今では100倍の1万8000人が働いている。当然、税収も増えている。また、沖縄への観光客は、2016年度は840万人になると県は試算していて外国人観光客も目標を5年前倒しし、200万人の大台達成を見込んでいる。航空会社もアジアの主要都市から4時間圏内、24時間使用できる那覇空港を物流拠点にしている。世界の資本が『ホテルをつくりたい』など県庁にどんどん来ている」と述べ、「沖縄振興予算についても誤解が多い。1972年の本土復帰時は国からの予算を得るノウハウがなかったため、沖縄開発庁(現沖縄振興局)が間に入り、他県と違い年末に一括計上される方式が採られることになった。各都道府県は、土木や教育、福祉など、それぞれの分野別で国から受け取っているが、沖縄は一括して受け取っているだけ。沖縄県でも他の道府県でも、国から受け取っている補助金の内容内訳は同じで、沖縄だけ特別に上乗せされているわけではない」「いま、沖縄は大きく発展していこうとしているが、基地があるから何にも前に進まない。『沖縄は基地で食っている』というのはもう30〜40年前の話であって、『基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因である』ということをしっかりとご理解いただきたいと思います」と参加者に訴えました。

最高裁判例に相反 法令の解釈に誤った判断が様々ある
 続いて、琉球法律事務所の竹下勇夫弁護士の判決報告とともにシンポジウムが行なわれ、司会に成蹊大学の武田真一郎教授、シンポジストimage007に沖縄県辺野古裁判等弁護団から、亀山聡弁護士、松永和宏弁護士、仲西孝浩弁護士、秀浦由紀子弁護士が参加しました。
 シンポジウムで竹下勇夫弁護士は「本件を最高裁に上告する理由として、今回の判決が過去の最高裁判例に相反する判断がある他、法令の解釈に関する重要な事項について誤った判断が様々あり、これらが判決に影響を及ぼすことは明らかである」と述べました。
 各弁護士からは「過去の最高裁判決では、行政処分の職権取消を認めている。今回、福岡高裁は、職権取消の範囲を狭めるなどの理由をつけ、本件では『職権取消ができない』としていることなど、最高裁判決と食い違う」「本件の争点は、翁長知事の承認取り消しの違法性を審理しなければいけないはずが、国は仲井眞前知事の埋立承認についての違法性を審理することを主張し、裁判所もそれを審理している。審理の対象が誤っている」「判決では裁判所が自ら“普天間飛行場の被害を除去するには辺野古新基地建設以外の方法はない”と“辺野古が唯一”とした判断をしている。このようなことは仲井眞前知事も言っていない。裁判所の権限を逸脱した判決となっている。福岡高裁は仲井眞前知事よりも国に擦り寄った国従属の判断をしている」「国地方係争処理委員会は、『沖縄県と国が話image005し合わなければ解決しない問題』と結論を出したが、翁長知事が話し合いを求めているにもかかわらず、国は話し合いに応じない。国は国地方係争処理委員会を軽視し、福岡高裁も国地方係争処理委員会の決定を軽視した法解釈をするなど、地方自治法の精神に反するものだ」などと発言しました。
 集会の最後に、早稲田大学の岡田正則教授は「裁判所の権限を飛び越えて、米軍基地をどこにつくるか、裁判所がやってはいけない政治判断を堂々とやっている。判決は全面的に国の主張を認めるもので非常に危険なこと。こんな判決では安心して日本に暮らせない。最高裁で是正されるべきである」と、まとめのあいさつを行い、集会を締めくくりました。