「民主的自治体労働者論 生成と展開、そして未来へ」が刊行されます
自治労連30周年、自治労連・地方自治問題研究機構20周年を記念して、「民主的自治体労働者論」が、8月10日、大月書店より刊行されます。
自治体労働者、地方自治問題の研究者をはじめ、多くの皆さんがご購読くださるようご紹介します。
【主な目次】
はじめに
序 章 働きがいのある仕事・職場を求めるあなたへ
民主的自治体労働者論への誘い 猿橋均(自治労連中央執行委員長)
第1章 自治体労働組合運動の歴史に学び、今にいかす─民主的自治体労働者論の生成・展開と実践
1 戦後の自治体労働組合運動と民主的自治体労働者論の生成、展開 駒場忠親(自治労連顧問)
2 憲法いかし、住民生活を守る──今日における自治体労働組合の役割と実践 中川悟(自治労連書記長)
第2章 地方自治と地方公務員制度のいま~歴史からたどり、現状と課題を考える
1 「全体の奉仕者」としての自治体労働者と憲法擁護義務 晴山一穂(専修大学名誉教授)
2 日本の地方自治の歴史と課題 本多滝夫(龍谷大学教授)
3 地方公務員の基本理念と制度改革・運用実態におけるその変容 榊原秀訓(南山大学教授)
第3章 自治体労働者の権利と働き方を考える
1 憲法が保障する自治体・公務公共関係労働者の権利 緒方桂子(南山大学教授)
2 公共サービスの担い手としての非正規公務員・委託労働者の働き方 戸室健作(千葉商科大学専任講師)
第4章 次世代の自治体労働者に引き継ぐもの─未来につなぐ民主的自治体労働者論
1 憲法民主主義のもとでの新たな地方自治体像と公務労働 二宮厚美(神戸大学名誉教授)
2 民主的自治体労働者の未来~ AI・デジタルイノベーション時代の自治体労働者はどう生きるか~ 白藤博行(専修大学教授)
類書にはない特色をもつ
晴山 一穂(編著者・専修大学名誉教授)
本書は、自治体労働運動に深くかかわってきた当事者の実践に裏づけられた論述と、その運動に理解と共感を示しながらも、単なる運動論ではなく、あくまでそれぞれの専門の立場から理論的に問題に接近しようとする研究者の論述とが、それぞれの特色を発揮しながら1冊の本にまとめられている点において、類書にはない特色をもつものとなっています。
この意味で、本書が、自治労連に結集する自治体労働者はもとよりのこと、組合所属のいかんを問わず日頃の仕事を通して住民のために働いているすべての正規・非正規の自治体職員、さらには、公務員の身分はもたないものの何らかの仕方で自治体の公的・公共的業務にかかわっている公務・公共関連職場の労働者のみなさんにとって意味のあるものとなることを心から願っています。
編集を終えて
松繁 美和(編集委員会責任者)
本書は、出来上がって「万々歳」と言うものではありません。多くの皆さんに、この本を手に取って読んでもらうことは、もちろんのこととして、自治体労働運動の歴史とたたかいの到達点、教訓、展望を学ぶ学習教材として活用していただくことによってこそ、本書の発刊の意味があります。
「憲法をいかし、住民生活を守る」ことが、自治労連の特別の任務という方針を掲げてきました。こうした呼びかけはややもすると、「公務員の政治的中立性」に、とっていかがなものかの批判。あるいは、政治や憲法を語るのは「意識高い系」と謂わば揶揄するような風潮のなかで、労働組合は時代遅れ感を持っている人たちも居るのではないでしょうか。まず、そういう方々に本書に触れて欲しいと思います。
「迷ったら、憲法に聞け。悩んだら、住民に聞け。」この言葉は、私が自治体労働者として働き始めたころの先輩からの言葉です。今回、「自治労連、自治労連共済結成30周年、研究機構設立20周年」を記念して、発刊の運びとなった「民主的自治体労働者論―生成と展開、そして未来へ」は、この言葉を改めてかみしめるものとなりました。そして、自治体関係者のみならず、主権者である住民・国民にとっても共通認識するこの出来るものだと思っているところです。地方自治の「広辞苑」とも位置づけられるものではないかと思います。
※「民主的自治体労働者論 ~生成と展開、そして未来へ」の発刊にあたり、自治労連ホームページ上に「自治体労働運動資料室」を開設し、自治労連本部が所蔵する関係文献、資料を掲載していますので、本書と合わせてご活用ください。