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神奈川フィル不当解雇撤回争議 中央労働委員会で「勝利和解」!

image004 神奈川県公務公共一般労組の杉本さん、布施木さんを、神奈川フィルハーモニー管弦楽団が不当解雇した事件で、中央労働委員会の和解協議ののち合意したことを受けて、4月11日、同神奈フィル分会は神奈川県庁で記者会見を行い、「勝利和解」を公表しました。

 楽団側は、14年7月に出された県労働委員会の解雇を無効とする等の命令、15年11月の解雇権の乱用だとした横浜地裁判決を不服として、それぞれ中央労働委員会、東京高裁に上訴していましたが、今回の和解を受け取り下げます。

 約4年間におよぶ闘いのなかで、署名やFAX要請、物販の協力や「杉本さん布施木さんの解雇を撤回させ神奈フィルを良くする会」の加入など、全国からたくさんの支援が寄せられました。

 

【原告の声明】

神奈川フィルハーモニー管弦楽団による杉本さん布施木さんの不当解雇事件の和解成立にあたって

 2016年4月8日、中央労働委員会において、神奈川フィルハーモニー管弦楽団(以下「楽団」という)によるコントラバス奏者杉本正さん布施木憲次さんの不当解雇事件について、楽団と原告の二人、神奈川県公務公共一般労働組合との間で和解が成立しました。

 和解の要点は、①楽団は神奈川県労委において不当労働行為認定を受けかつ紛争の長期化について遺憾の意を表明する、②楽団は二人の解雇を撤回する、③楽団は解決金を支払う、④解雇撤回後二人は合意退職する、⑤楽団は神奈川県労委による不当労働行為との判断を受けかつ紛争が長期にわたり継続したことに関し遺憾の意を表明することなどをホームページ上に掲載する、の5点です。

 最終的に勝利判決を獲得しても、原告の定年退職年齢との関係から、実質的職場復帰は達成できない可能性があることから、二人の音楽家としての今後の人生を鑑み、早期決着を優先した結果、職場復帰とはなりませんでしたが、楽団の不当労働行為を認めさせ、楽団による解雇によって傷つけられた杉本氏、布施木氏の音楽家としての名誉を回復し、不当解雇による経済的損失を回復する解決金を支払わせた「勝利和解」です。

 本解雇事件は、もともと楽団運営を私物化してきた一部理事に対して、異を唱えて県公務一般労組神奈フィル分会を結成・加入した両名に対し、当局が異論を挟むものを排除するために企てたもので、でっち上げや処分事由に当たらない内容を持って、解雇を強行した労働者敵視、組合潰しのための不当解雇事件でした。

 2012年4月12日、神奈川フィルハーモニー管弦楽団は突然に二人に対し解雇通知を送付しましたが、その解雇理由は、演奏技術や演奏態度などの事実無根のものでした。そのことは、約2年間の神奈川県労働委員会の審問の中で明確になり、2014年7月24日、神奈川県労働委員会は楽団の不当労働行為を認定し、解雇撤回・現職復帰・未払い賃金の支払い・ポストノーチスを命じる救済命令を出しました。また横浜地裁においても2015年11月26日、二人の解雇は解雇権の濫用にあたり無効、楽員の地位確認、未払い賃金の支払を楽団に命じました。

 二人の解雇撤回と神奈川フィルの民主的運営をめざす「良くする会」と支援者は、二人の解雇の不当性と一部理事による楽団私物化ともいえる実態を、定期演奏会や様々な演奏会前の宣伝で明らかにしてきました。神奈川県労働委員会や横浜地裁には、音楽専門家を含む多くの上申書を提出するとともに要請を行ってきました。また広く全国に解雇撤回支援の協力を仰ぎ、団体・個人署名を集約してきました。こうした運動の積み重ねと弁護団の力が、県労働委員会と横浜地裁の勝利命令・判決に、そして和解に結実したと考えます。

 これまでご支援いただいた全国のみなさまに厚くお礼申し上げます。

 二人の解雇事件は一定の解決となりました。しかし、神奈川フィルを良くするとりくみは今後も重要です。組合つぶしの攻撃を乗り越えた神奈フィル分会は今回の勝利和解を力に、神奈フィルの民主化と楽団員の抜本的な処遇改善の先頭に立つ組合として楽団内での組織拡大・強化をすすめる決意です。また、労働委員会で不当労働行為が認定され、楽団がそれを認めたことから、その解雇に関与してきた神奈川県の責任は重大であり、本件和解の成立をもってしてもその責任を逃れられるものではありません。

 神奈フィル分会を中心に神奈川県公務公共一般労働組合として引き続き奮闘する決意を申し述べ、中労委「勝利和解」にあたっての声明とします。

 

2016年4月11日

神奈川フィル不当解雇原告

神奈川県公務公共一般労働組合

同  神奈フィル分会

杉本さん布施木さんの解雇を撤回させ神奈フィルを良くする会

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