自治労連が第42回中央委員会を開催
すべての労働者の賃金引き上げ、公務民間、国民の共同を大きく広げて2011国民春闘を意気高くたたかおう
自治労連は1月27日~28日、東京都内において第42回中央委員会を開催し、2011年国民春闘のたたかう方針を全会一致で確立しました。
野村幸裕委員長は開会あいさつで、「11春闘は雇用確保と賃上げを全面に掲げる春闘であり、これを国民的要求として労働者と国民との共同を広げていかなければならない」と強調しました。そして、今国会で国家公務員の賃金引き下げ法案が提出されようとしていることを受け、「この法案は民間に先行して賃下げサイクルをつくるもの。正規・非正規一体となった賃金引き上げのたたかいが求められる。憲法キャラバンや地域総行動、『対話と提言』の運動で世論を広げていこう」と語りました。また、11春闘課題においては、「農業と国のあり方を崩すTPP、子どもたちの権利をないがしろにする“新システム”を推進する地域主権改革に対し、大きなたたかいを広げよう」と呼びかけ、「組織拡大では全県で組合員の獲得があり、今こそV字をきって増勢に向かう時だ。4月のいっせい地方選挙では生活の矛盾の震源が政治にあることを広げる絶好の機会として一歩を踏み出そう」と述べました。
伊藤潤一東京地評議長が来賓あいさつし、「民主党は財界とアメリカが支持する政策を掲げ続け、国民の支持を失っている。4月のいっせい地方選挙に大きな影響を与えられるようなたたかいを、この春闘で展開していこう」と呼びかけました。
猿橋均書記長の春闘方針を受け、2日間で30人(うち女性8人)が発言。誇りと怒りの運動や、秋季年末闘争のさまざまな闘いの経験や教訓が2011年国民春闘方針を補強する立場から豊かに語られました。主な発言は、以下のとおりです。
○2010賃金確定闘争の中で、嘱託職員の基礎報酬・経験加算引き上げの回答を引き出した。この回答と一緒に加入届けも付け配り、組合員が増えている。春の拡大月間まではずみをつけて取り組む。
○愛媛県西条市では、市立周桑病院の指定管理者制度移行でにあたり職員の分限免職・市長部局への再雇用を行ったが、賃金の2割削減に対し、やむなく20人が分限免職撤回を求め訴訟に踏み切った。負けるわけにはいかない。今後もご支援を。
○長崎市当局は、9月議会で突然、市立病院の独法化表明。組合とは交渉をしないとの態度に対し、地方労働委員会にあっせん申請。今後自治会や議員との交流をしながら独法化の中止・延期を求めて闘う。
○4月に行われる県知事選挙に、民主県政めざして「鴨井ひろこさん」が出馬表明。2期8年の松沢県政は、143の出先機関を廃止するなど、県政が県民からますます遠くなっている。職場アンケートでも、職員の支持はわずか6%。県民のねがう県政を議論しながら知事選を闘う。
○確定闘争で4月遡及を阻止、給与の是正を実現した。地域づくり調査では組合員が心ひとつにして取り組み、自治体の果たす役割が確認できて大きな財産となった。女性部のバレンタイン作戦でも要求が前進した。
○神戸水道検針業務について、市は2011年度に新たな委託の拡大を提案。雇用を守れとハガキアンケートの実施や、検針時に高齢者見守りを行うとの政策提言をしながら取り組んでいる。
○指定管理者問題では市とも交渉、引き下げられた賃金の回復等勝ち取ってきた。誇りと怒りのアンケートは1200通戻ってきている。3月に青年部を設立する。
○23区内では非正規の大幅賃上げや労働条件の改善を獲得。三多摩では嘱託職員の時間単価アップや介護休暇を有給で新設。雇用を守るたたかいでも、再応募化など更新改善を勝ち取ってきた。八王子市や豊島区での学校施設開放員の委託攻撃を許さない運動を展開中。
○労働基本権回復を見据え、交渉や労働協約の作り方など学習会を開催。公契約では闘争委員会を立ち上げ、秋にはシンポジウムを実施する。静岡市社協のパートタイム労働者の5年有期雇用撤廃に向け団結署名や労働委員会の活用、裁判闘争も視野に取り組む。
○名古屋市職労は、実行委員会を作り二つのアンケートを実施。生活アンケートでは1月で9000人分を超えた。2カ月間、70回の統一行動に600人が参加。くらしが苦しいと5割以上の人が回答。中小企業アンケートでは1362件を訪問し、約4割724件を回収した。名古屋市長選、愛知県知事選を要求実現と切り結んで取り組む。
○2月6日実施の北九州市長選挙では、「あたたかい市政を作る会」を構成し地方から政治を変えるため奮闘する。
○学校給食事業の団体が公益法人として残れるかどうかの事態に直面している。愛知・春日井市では公益法人として許可されているとわかり、展望が開けてきた。TPPに対するたたかいでは、昨年、岩手県内22の自治体首長とすべての農協から参加反対の賛同を得た。1月31日には、農協、県漁連、生協連、森林組合が呼びかけた県民共同の運動団体が発足。自治労連も参加して今春闘で大いにたたかう。
○三重県内の単産・団体の研究集会等を「あすの三重を考える集い」として実施。300人参加めざして奮闘中。こうした運動をいかして組織拡大へむけがんばる。
○誇りと怒りの大阪集会を12月19日、全員参加型で実施。働く仲間の要求を共感しあい、現状を告発する集会として開催。運動に対する構えの大事さを実感した。今後、アンケートを分析しながら、声を掛け合い、運動を大きくしていく。
○岡山では公民館の市長部局移管が提案されたが、公民館を考える集いや学習会の開催、1カ月足らずで署名を1万集め、所管は教育委員会のままで公民館活動と安全・安心ネットワーク活動を統合することとなった。嘱託職員協議会は毎年団体交渉を実施、一時金削減阻止、短期の介護休暇制度を勝ち取った。交渉では仕事の様子を写真、絵、グラフで伝え現状を訴えた。
○保育制度改悪反対の闘いでは、高知県内12議会が決議を上げ、3月5日にはシンポジウムを開催する。高知の宿毛新港に米艦船と同時に自衛艦も入港するなど異例な状況が起こった。県は「港が空いていれば許可しないわけにはいかない」「同時入港の判断をする立場でない」と回答。地域主権改革で、国民の暮らしや命が守れるか、どの子にも豊かな保育の保障ができるか、住み続けられる地域が作れるか、こういった視点で国民春闘といっせい地方選挙を取り組む。
まとめで猿橋書記長は「自治体・公務公共に働く労働者の強みと、それに課せられた使命を果たすために何が必要かを積極的にとらえ、闘いが展開されていることが確認できた」と述べた上で、「誇りと怒りの大運動では正規・非正規が一体となった闘いが広がりを見せており、組織拡大につながっている」「すべての労働者を視野に入れ、たたかいを強めていこう」と語りました。また、労働基本権回復のたたかいでは、住民のいのちとくらしを守るための自治体労働者の権利を回復するたたかいと位置づけて取り組んでいくことを強調し、「この中央委員会では各地で挑戦課題が広がっていることが明らかになった。切り開いた闘いの教訓を、ぜひ本部に寄せていただきたい。運動の成果が政府や自治体の方針を変えている。そのことに確信を持ち、運動をすすめていこう」と述べました。