1・31医療関係府省・団体要請を実施-総務省、厚労省、全自病協、看護協会に要請・懇談
1月31日、自治労連は前日の医療集会に続いて、関係各省・団体との要請・懇談を実施しました。
◆総務省要請
自治労連からは山口副委員長、高田憲法社政策局次長、さらに全国から16人が参加。総務省・自治財政局病院事業係長(併)病院経営係長が対応しました。
総務省は「改革プラン」について「効率性優先の病院縮小、『再編・ネットワーク化」』『経営形態の変更』への誘導を行わないこと」また、「『公立病院に関する財政措置』にあたっては、『改革プラン』を前提にしない財政支援措置を実施すること」という自治労連の要請にたいし、「見直しはお願いしているが、強制はしていない」とし、「今年度予算での病床当たりの交付税の増額措置をおこなった。この支援措置は改革プラン策定が前提のものではない」と回答しました。また、「病院事業に対する地方交付税を引き続き増額し、増額分が病院運営に反映するように」との要請にたいし、「地方財政対策として3年連続で増額をはかり、H23年度も約300億円の増額、今後も必要な財政支援措置をはかる」と回答しました。これにたいし、病院に算定された交付税を自治体がそれ以外の目的に使用し、病院の赤字に補填されていないなどの実態を調査しているかといった追及をおこないましたが、総務省は「一般財源として交付しているので強制はできない。必要な助言は今後もおこなう」と答えるにとどまりました。自治労連は指定管理者制度について1月に出された通達にもとづき、指定管理者制度を導入した公立病院の状況をつかみ必要な措置をおこなうべきだと要請し、総務省として3月に一定の調査結果を示すとの返答がありました。全国からの参加者が、財政困難な現場の状況を伝えました。
◆厚生労働省要請
総務省につづいて、要請団は厚生労働省への要請をおこないました。厚労省は医政局看護課人材確保係長、保健局医療課、労働基準局の担当官が対応しました。
はじめに「第7次看護師需給計画について、人員体制を確保し、実態に見合ったものに改め、離職防止の対策を行い、看護師が働きつづけられる職場になるよう環境整備を行うこと」の要請にたいし、厚労省は「看護職員確保対策事業として、離職防止・定着促進18.3億円、新人研修事業11.8億円、再就職支援1.1億円、養成所運営事業促進45.7憶円、概算要求時より規模は変更となったが、これらの施策を講じる。看護師需給はH23で96%、H27年度は99%となる見通し。ただし地域偏在なども考慮し、数値のみに惑わされず地域の実情に応じた対策を講じる」と回答。「看護師の配置基準の抜本的改善を行い、病棟以外の職場にも基準を設けること」の要請には、「昨年2月の中医協答申で看護職員の配置・夜勤時間のあり方含め負担軽減・処遇改善措置の検討をおこなう事になっており、外来棟の看護師についても中医協で必要な検討をおこなう」と回答しました。また「看護職員確保法を改善し、地方公務員にも適用すること」の要請には、「公務員は国公法および地公法にもとづく処遇が担保されるため、厚労省からの法改正は考えていない」と回答。そして「2交代長時間夜勤については、ILO第149号看護職員条約に鑑み、基本的な見解を示し是正をすること」の要請に対しては明確な回答が得られず、自治労連として「現行労基法が定めている『1日8時間労働』は日付けを基準にしているが『一回の労働で連続8時間が限度』というような指針が示されれば16時間の長時間夜勤は根本的に規制の対象となる。これを是非実現してほしい」と強く要請しました。
参加者からは、「五所川原市立西北中央病院では7:1看護体制維持のために準夜勤の看護師が翌朝8時まで残業している。人員不足に対応するため当局は職員に『あなたの休みを貸してほしい』と言い、結果的に代替休暇はとれない状態。看護師増員を要求して交渉するも『人員増なら人件費削減を伴う』と言いだす。この状況をどう思うか」(青森)、「大阪府立5病院で102人の看護師欠員があり、7:1体制を維持するために職員は有休が5日もとれていない。人間らしく働ける条件整備を」(大阪)、「看護師は家庭生活に支障が生じることが普通になってしまっている状況を認識しているか」(埼玉)など次々に現場の状況を訴えました。
厚労省は「現場の困難な状況については再認識した。今後の中医協の検討状況も注視頂きつつ、是非とも、具体的なデータをもとにどのような基準等を設けるべきかのお考えをご提供いただきたい」との積極的な回答があり、自治労連が取り組んだ看護職員労働実態調査の中間報告書を手渡しました。
◆全国自治体病院協議会との懇談
全国自治体病院協議会(以下:全自病協)には、柴田副委員長はじめ8名が出席、全自病協からは遠藤全自病協事務局長と石黒経営指導部長が対応しました。
看護師不足の問題について全自病協は、「病院事業はスタッフがいて、医療行為を行って収入を得ている。スタッフの確保、看護職員の確保対策は定数の規制の枠外にしてほしいと国に要求し続けている」と述べました。さらに「全国で看護師が5万人不足している。地方も看護師不足が深刻で、病床が半分しか稼動していない実態もあり、このような本末転倒の状況は何とかしないといけない」など看護職員を始めとした人員不足の問題点について述べました。各参加者からは指定管理での分限免職問題、独法化の問題点等を指摘、今後も意見交換を行うことを確認し終了しました。
◆日本看護協会との懇談
看護協会との懇談には、猿橋書記長をはじめ、9名の看護師が参加、看護協会からは久常会長、小川常任理事他6名の役員が出席し、懇談しました。
自治労連から、この間の看護師の労働条件改善のための看護協会の取り組みに対して敬意を表明、自治労連が取り組んだ「看護職員労働実態調査」でサービス残業、充分な看護の提供ができていないなどの実態があることを報告。参加者からも「現場で人員増の運動をしており、一定の成果も出ているが、辞めていく看護師が後を絶たない現状である、ILOは批准すべきだし、そのために国が動くことが必要である」と切実な思いが語られました。猿橋書記長は、「自治労連としてアンケート結果報告を具体化していき、雇用の質にたいするプロジェクトをつくり、中医協対策を職域、職種をこえて運動をすすめる。政策で一致する点は可能な限り共同して運動をすすめていく」と述べました。看護協会会長からも看護師の労働条件の改善は協会の役割であり継続して取り組みとの認識が示されました。