「第38回自治体労働者平和のつどいin長崎」
―核兵器のない世界、原発ゼロ、住民のいのちとくらしを守る自治体を―
原水爆禁止世界大会(長崎)第2日目の8月8日、自治労連の独自企画として「第38回自治体労働者平和のつどいin長崎」がNBC長崎放送メディアワンにて開催され、全国から117名が参加しました。
主催者を代表して自治労連猿橋均委員長代行が開会の挨拶をし、「今年のNPT再検討会議では、残念ながら合意文書の採択には至りませんでした。しかし、私たちの日本での運動により核兵器廃絶に向けた世界的な世論は確実に広がっています。憲法キャラバンなどを通じて自治体関係者との共同をひろげ93名ものNPT代表団を組織した私たち自治労連の果たしてきた役割についてあらためて確認をしましょう。安倍政権は日本が今まで守ってきた憲法を破壊し、日本を戦争する国へと変えようとしています。この安倍政権の暴走に対し国民は反対の声をあげています。主権者である国民のたたかいを地域から支える役割を担うことが自治労連の重大な任務です」と呼びかけました。
次に、現地歓迎挨拶として長崎自治労連里正善委員長が、「先の戦争の反省から、地方自治を住民自治で運営し、それによって住民の福祉を守ることを基本にすえた精神が憲法に貫かれている。地方自治の本旨とは住民の暮らしやいのちを守ることにもとづいて進めていかなければならない。自治体職員には平和について発信していく責務がある。住民のいのちと暮らしを守るためには、自治体が国と違う意見を述べることも必要」と訴えかけました。
今回のつどいの開催にあたっては、広島市長・長崎市長からメッセージが寄せられ、司会の広島自治労連大内理枝書記長から紹介されました。
「被爆証言・被爆者として生きる」というタイトルで、長崎原爆被災者協議会理事で被爆者の田中重光さんが記念講演を行い、自らの被爆体験を写真などを使いながら話してくださいました。そして、「二度と被爆者を作らないことが私の願い。『二度を赤紙を配らない』との強い思いからみなさんの労働組合ができた。公務員は憲法を守る宣誓をし、憲法を守り住民を守る責務がある。今、公務員が減らされ、また、地域住民の生活・福祉を守る自治体も少なくなっている。みなさんの力を大いに発揮し、地域住民の暮らしを守り平和を守る活動をしてほしい」と述べられました。
特別報告を、大阪自治労連門真市職労、佐賀自治労連唐津市労連、自治労連副委員長の福島功さん、岩手自治労連大船渡市職、福島県本部二本松市職労が行いました。
大阪自治労連からは「NPT再検討会議ニューヨーク行動に参加して」と題し、NPTニューヨーク行動に①日本で集めた署名を確実にとどけること、②現地での署名活動・平和パレードに参加すること、③平和活動を通じて現地の人たちと交流し学ぶこと、④平和活動の経験を日本で広めていくことの4つの目的を持って参加したこと、署名活動やハート鶴の作成など出発までに行った様々な取り組み、現地での取り組みなどが報告されました。
佐賀自治労連からは「賃金や権利など私たちが働く上での要求は、平和という土台がなければ成り立たないものであり、今回の行動で、組合活動と平和活動との強い結びつきを感じました。核廃絶に向けて、世界で唯一の被爆国である日本人が率先して核兵器の恐ろしさを伝えていくことが大切」とニューヨーク行動に参加して強く感じたことが報告されました。
自治労連の 福島さんから「問題意識を持ち続けること、学ぶこと、行動することを皆さんに期待します」と2015年NPT再検討会議の結果と今後の運動の課題が報告された後、岩手自治労連の中嶋さんから「憲法キャラバン・反核平和マラソンの取り組み」が報告されました。今年は6月2日から「核兵器廃絶・憲法9条を守ろう・核兵器も戦争もない平和な日本・平和な世界そして東日本大震災の一刻も早い復興を」と願い反核平和マラソンが行われ、4日間で700名の青年が参加したことが報告されました。復興に関しては、「街づくりという点においてまだまだ町の復興の全体像が見えていないのが現実。被災地の現状をよく把握して自治体からの要望をよく聞いて、国の責任で復興を行ってほしいというのが被災自治体・住民の願いです」との訴えがされました。
福島県本部からは「被災4年目の状況報告」が行われました。原発事故から4年が経過しているがまだ事故が終わったといえる状況ではないこと、原発事故によって生じた個々の立場の違いが住民間の分断を生じさせている現状が報告されました。そして原発再稼働・福島切り捨てを跳ね返すたたかいを進める決意が述べられました。
猿橋均委員長代行から、私たち自身が絶えず被爆の実相を学び語り継いでいくこと、憲法をないがしろにする戦争法案を断固阻止するたたかいすすめていくことの行動提起が行われました。
静岡自治労連静岡市労連副委員長から「世界大会に参加し、自治体職員として、戦争反対・核兵器廃絶を訴えていく必要を強く感じました。次の世代へ伝えていきましょう」と閉会のあいさつが行われました。
【原水爆禁止2015年世界大会・分科会「非核平和の自治体づくり」(8/8)】
自治体労働者平和のつどいに先立ち、8月8日午前中から分科会が開催され、12ヶ所にわかれ活発な討論がされました。テーマ別集会3「非核平和の自治体づくり」では猿橋委員長代行と福島副委員長が運営委員として参加しました。核兵器全面禁止に背を向け、「核の傘」依存を続ける日本政府の下で、憲法を守り核兵器廃絶の世論を築いていくための各地の運動の経験交流、自治体の果たす役割についてなどの議論が活発に行われました。