バス労組・労働者のネットワーク確立へ!公企研究交流集会・公営交通労組分科会
第33回全国公企研究交流集会・公営交通労組分科会
10月3日、4日、自治労連公営企業評議会、第33回全国公企研究交流集会が、兵庫県姫路市のホテルクラウンヒルズ姫路で開催され、上下水道、公営電力、公営交通など自治体の公営企業などに働く全国の仲間が参加しました。
今回の集会の大きなニュースは、昨年来、横浜市交通局従業員労働組合、自治労連長崎公共交通労働組合、八戸市営バス労働組合と、公営バス職場における労働組合結成が相次ぎ、それ以前に結成していた北九州市バス労働組合も一堂に会しての分科会が開催されたことでした。
分科会では、結成から今までの各労組の状況を出し合い、「自治労連の中に同じ公営交通で働く仲間たちがいる」ということを改めて確認し、自治労連本部、公営企業評議会、各県組織などと常に連絡を取り合い、また各単組間での情報共有に努め、厳しい攻撃の中でも孤立感を深めない闘いを進めることを確認しました。
今後は、早期に自治労連公営企業評議会内に公営交通労組の役員体制を含めたネットワークを確立し、来年1月の公営企業評議会省庁要請行動への参加、今後の交通政策確立のため、研究者や住民との研究交流活動を行うことなどが確認されました。
公営交通(バス)労組が相次いで結成された背景は、「非正規の差別反対!組合員が主人公の労働組合を!」の要求から
地方においては、道路網の整備と自動車の普及により移動の利便性が高まり、バスなどの公共交通の利用者が減少し、路線が廃止、便数が減少するなど悪循環が繰り返されています。都市においても、民間バス路線との競合によるダイヤの削減、不採算路線の廃止、民間との競合路線の民営バス事業者への路線の移譲等のほか、全路線を民営バス事業者へ移管し自治体がバス事業から撤退することが行われてきました。
赤字解消を迫られる当局は、その方策として赤字路線の切り捨て、労働者に対しては賃下げ、労働強化、そして非正規化を進めました。その結果、労働現場での職員の疾病率の高さ、過労による事故の多発が問題化し、労働環境の改善とともに住民の安全のために早急に解決しなくてはならない課題となっています。
この間、自治労連に加入した公営交通(バス)労組は、非正規職員に対する差別や劣悪な労働環境の押し付けの中で非正規職員が中心となって結成したり、過酷なダイヤ編成や労務管理に対して既存の組合が組合員の意見を聞かない中で、当局の言いなりにならない闘う労働組合をつくろうと立ち上がったものです。その背景には、現在の交通労働者が置かれている共通した劣悪な職場環境があり、今後、全国に公営交通労組結成が広がる可能性を秘めています。
分科会での活発な意見交換
分科会では、各単組から労組結成の経過や取り組みの状況、職場環境や地域交通問題など様々な報告が行われました。
【北九州市バス労働組合】
当局から嘱託乗務員の労働時間の短縮と60歳以上の大幅賃下げの提案があり、合計で90万円もの減収になる嘱託乗務員もいる。競合組合の組合員も含めて132名中107名の反対署名を集めた。前回の署名活動の際は、署名したら「正規職員への採用ができない」と攻撃があり撤回する職員も出る状況も生まれたが、今回は署名方法を変え成果が出た。競合組合の嘱託組合員にも私たちの活動への理解はひろがっている。市当局は、赤字路線の運営を民間へさせると方針化したが、結局引き受け手がなく、公営は維持したが運賃が倍近くとなった。「同じ公営バスでなぜ」と住民の間で問題化している。組合として当局に法の趣旨を問い、市民に情報を公開し共闘をしていく。
【横浜市交通局従業員労働組合】
既存組合の横浜交通労働組合(横交労組)の非民主的な運営に対し、「このような職場をなんとか変えよう」と労組が結成された。現在、組合員は昨年の結成時から倍加し、100名を展望するまでになっている。執行委員会は傍聴自由というオープンな組合運営を続けており、組合員の信頼を高めている。当面の目標はすべてのバス営業所に支部を確立すること。
当局が既存組合との差別化を図るために行っている攻撃や妨害が、目に余る状況で続いている。様々な理由をつけてチェックオフを妨害する、組合事務所の貸与も妥結寸前のところで、予定されていた部屋にトイレットペーパーが大量に搬入され、「空き室でないから貸せない」など実に幼稚な対応が行われている。
【自治労連長崎公共交通労働組合】
当局が大型二種の養成員制度を始めると発表。当局は正式には認めていないが組合の働きかけと、今年1月の公営企業評議会で行った国交省要請行動の成果が早速現れたと考えている。長崎では規制緩和による民間参入で公営路線が取られたが、一年で採算がとれないということで、結局民間が投げ出して公営に戻されるという事例があった。
嘱託のバス運転手に対しての偏見が職場の中で多い。バスガイド(正規)の言動を注意したら、「貸し切り(バス乗務)をおろしてやる」と恫喝され、それに乗じて当局が「反省文を書け」と迫り、当局が用意した文面で反省文の作成を強要された。現在、その反省文の撤回を要求、ガイドが提出した報告書の開示も求めている。
【八戸市営バス労働組合】
嘱託職員に対する差別や偏見が多く、職場に不満が満ちていた。そのような中で起きた、乗客の転倒事故を契機にした処分。その冤罪を晴らす闘いの中で労組が結成された。怪我をした状況というのは、実際は停車中のことであり、運転手には何も落ち度はなかったが、当局とその乗客が口裏を合わせ、事故をでっち上げて処分を行おうとした。国民救援会などの支援を受けて闘い、冤罪を晴らすことができた。それらの闘いが職場でひろがり中心となった人たちを核に労組が結成された。
さらなる公営交通労働者の自治労連への結集を!
短い時間で話が尽きないほどの意見交換を行いました。様々な意見を出し合う中でお互いに解決の糸口が見えたこともあり、今後、政策的に精査し高め合っていかなければならない問題も多々見つかりました。引続き公営企業評議会として、公営交通労働者の権利向上、全国ネットワーク化、住民のための交通政策確立のために、全力を尽くします。