自治労連介護関係労働者全国交流集会in広島
利用者も家族も介護労働者も安心して暮らせる介護制度の実現のために
2015年「自治労連介護関係労働者全国交流集会」は、10月24日(土)~25日(日)、広島市内で開催され、全国から介護関係労働者が結集しました。
地元広島自治労連は、集会成功に向けて介護関係職場へのオルグも行い、組合未加入者や自治労連の組織外も含め多数参加しました。
集会では、国民の誰もが安全・安心・平和に暮らせる社会をめざし、①利用者・家族が安心して暮らせ、介護関係労働者が元気に働き続けられるように全国の運動を交流し、今後の活動に生かす。②全国各地で巻き起こっている様々な運動に連帯し、社会保障を守り・拡充する取り組みを広げるなど、意思統一をはかりました。
開会にあたり、高柳副委員長は「安倍政権が押しすすめる『戦争する国づくり』と『社会保障の大改悪』は、憲法9条、25条など憲法をなし崩しにするもの。職場・地域から立ち上がろう」と挨拶しました。続いて広島市職労の塩見委員長から開催地を代表して歓迎の挨拶がありました。
記念講演
「医療・介護崩壊の深層と人間の尊厳としての再生の処方箋」と題して本田宏先生(NPO法人医療制度研究会副理事長、外科医)から記念講演がありました。本田先生はパワーポイントの資料・映像を用いながら、医師不足の現状とその原因、デンマークの充実した医療・介護の現状、日本の医療介護を良くする運動に必要なことなどについて熱く語り、笑いがあふれ、展望のもてる講演となりました。
報告及び基調報告
宮本茂さん(社会福祉部会部会長・介護対策委員)から、「15年目の介護保険~自治体労働者として社会保障制度としての高齢者福祉・介護保険を考える~」と題して、介護をめぐる現状や課題、自治労連の介護保障を求める基本的立場などについて報告を行いました。引き続いて、篠原・介護対策委員会事務局長が基調報告を行ない、安倍政権の社会保障や介護制度の市場化や改悪の内容に触れ、利用者家族などと共同して職場や地域から自治労連として取り組む運動方向について提起しました。
リレートーク
3人の方がリレートークを行いました。
〇なごや介護福祉労働組合から は「在宅での介護労働の現状と改善の取り組み」と題し、「新総合事業」移行をにらんで、職員に業務希望アンケート調査が行われ、賃金引き下げも心配される状況や、地域社保協と共同し自治体に要望書を出して取り組みを始めていることが報告されました。
〇広島自治労連委員長からは「広島市・福山市の新・総合事業の現状と課題」が報告され、新総合事業では介護予防などの事業費が現行より3割削減となるため、サービスの一部をボランテイアで行ったり、都市部ではフィットネスクラブに委託する動きなどが報告されました。
〇島根県事務所からは「島根県における介護職場の組織化の取り組み」と題して、県の医療構想の検討では病床が2~3割削減することになり地域医療に大きな影響を及ぼす事態や、介護の診療報酬引き下げで事業者の経営も悪化している状況、介護労働者の劣悪な労働条件の下で労働相談や組合加入が広がっている状況など報告されました。
分科会・講座
集会2日目は2つの分科会と講座が開催され、参加者はそれぞれ抱えている悩みや現状、さまざまな取り組みを語りながら交流を深め、学習を行ないました。
分科会「地域の高齢者福祉を考える」
要支援1・2が介護保険から外され、2016年度までに市町村が「新総合事業」として具体化することが求められています。広島市や福山市、名古屋市、横浜市などの検討状況の報告を受け、交流しました。事業費が従来の3割減でやっていけるか、ボランテイアが集まるのか、など疑問や危惧が出されました。
分科会「施設職員のより良い仕事をめざして」
「企業が経営する事業所で、労働条件が劣悪で職員が辞め、現場責任者がローテに入っても勤務が組めない状況だ。」「入所者に統合失調症の薬を医師でなく施設の判断で止めたりしている。」「組合を作って交渉を重ね、時間外手当を出させることができた。」など、「福祉が福祉でなくなる」ような厳しい中で、良い介護をするために、粘り強く取り組んでいる姿が語られました。
講座「安心して働ける職場環境づくり」
講師の梶山さん(前自治労連・労安対策委員)から、前半では、労働安全衛生活動の基礎を具体的な取り組みも交えて学びました。また、後半では、メンタル、パワハラ対策について、予防から復帰までの取り組みを学習しました。参加者は「明日から使える」、「力が付いた」と感想が寄せられました。
集会のまとめ
2日間の集会を締めくくるまとめの集会では、分科会・講座の参加者からそれぞれ分科会の様子や特徴的な発言、講座の感想などがそれぞれ報告されました。最後に、憲法を平和でも社会保障でも守り生かす運動として、職場・地域から取り組むことを確認し閉会しました。